■四色問題(その8)
【4】彩色数とヒーウッドの公式
H(g)=[{7+√(1+48g)}/2]
と同値な
H(χ)=[{7+√(49−24χ)}/2]
を紹介します.オイラー標数χの閉曲面(向きづけられるか否かは不問)上の地図は,辺で境される国を別の色で塗るという条件下において,ヒーウッドの数
H(χ)=[{7+√(49−24χ)}/2]
色あれば塗り分けられるというものです(十分条件).([・]は切り捨て).
実際の彩色数に対して
N(S)=4,N(P)=6,N(T)=7,N(K)=6
ヒーウッド数は
H(S)=4,H(P)=6,H(T)=7,H(K)=7
なので,クラインの壷では一致しません.しかし,クラインの壷以外のすべての向き付け可能・不可能な曲面に対して,彩色数はヒーウッドの公式で与えられます.たとえば,
χ(3P)=−1 → H(3P)=7
χ(2T/4P)=−2 → H(2T/4P)=8
χ(5P)=−3 → H(5P)=9
χ(3T/6P)=−4 → H(3T/6P)=9
χ(7P)=−5 → H(7P)=10
[注1]この公式は本来χ<0の場合にのみ有効である.ただし結果的にχ=1(射影平面)とχ=0で向きづけられる曲面(輪環面)では必要十分な正しい値(それぞれ6と7)を与える.χ=2(球面)のときには4を与えるが,これは「偶然の一致」であって四色問題の解ではない(∵上の公式を導くときχ<0という条件を本質的に使っている).
[注2]これは十分条件であって,必要条件(どうしてもそれだけの色がいる)ではない.結果的にはχ=0で向きづけられない曲面(クラインの壷)以外の曲面ではすべて正しく必要十分な色数を与えている.クラインの壷は唯一の例外で公式の値は7だが,実は6色で必要十分である.必要性は部分的(χの特別な値の例)には19世紀末から知られていたが,最終的にはヤングスとリンゲルとが共同研究して1968年に完全に証明された.
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