■射影幾何(その2)

【2】2次曲線の射影変換

2変数x,yの多項式f(x,y)=0で定義される曲線を平面代数曲線と呼びます.f(x,y)=0が2次式の場合,その一般式は,項数6の多項式

ax2 +hxy+by2 +cx+dy+e=0

として書くことができます.

2次曲線には楕円,放物線,双曲線があり,それらは円錐(必ずしも直円錐でなくてよい)を平面で切断したときの切り口として現れる一群の曲線,すなわち円錐曲線です.

ここで,射影変換(直線を直線に移す円板の非ユークリッド幾何学的な変換)により,

  x’=(ax+by+c)/(ux+vy+w)

  y’=(dx+ey+f)/(ux+vy+w)

を考えます.たとえば,

  X=2x/(1+y)

  Y=(1−y)/(1+y)

と変数変換すると単位円X^2+Y^2=1は放物線y=x^2になり

  X=2/(x+y)

  Y=(−x+y)/(x+y)

と変数変換すると単位円X^2+Y^2=1は双曲線xy=1になります.この変換によって2点間の距離や2直線の交差する角度は保たれませんが,直線は直線に,2次曲線は2次曲線に変換され,直線が2次曲線に接している状況は保存されます.これが射影幾何学の視点であって,この変換によって,射影平面上では円錐曲線はただ1種類しかなく,双曲線・放物線・楕円などの区別はなく,無限遠直線と交わらない,接する,交わるの違いだけであって,どれも同種の曲線となります.

2次曲線は円(離心率e=0)として生まれ,楕円に育ち,放物線(e=1)で相転移して双曲線になる.漸近線のなす角度は最初鋭角だがだんだん大きくなり,180°になった時点(e=∞)で虚領域に入る.そして再び円に生まれ変わる.楕円の面積は有限,放物線の面積は∞,この考え方を延長すると双曲線の面積は虚数ということになる・・・というのがケプラーの原理です.

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