■代数幾何(その5)
【5】代数曲面上の直線
代数幾何では,代数曲線上の点のほかに,代数曲面上の直線も扱われます.空間内の2次曲面f(x,y,z)=0の分類はよく知られていて,楕円面,一葉双曲面,二葉双曲面,楕円放物面,双曲放物面のどれかに分類されます.2次曲面には無数に多くの直線がのっているものがあり,その場合には線織面と呼ばれます.たとえば,
一葉双曲面:x^2+y^2−z^2=1
双曲放物面:z=xy
には,無数に多くの直線がのっています.2次曲面が直線の族を含んでいるという事実は建築でも実際に応用されますが,カーブを描いた曲面をコンクリートを使って建設できるということは明らかに利点です.
一葉双曲面と双曲放物面は2重に線織されていますが,これら以外に2重線織面はありません.また,平面以外の3重線織面は存在しません.つまり,1次曲面(平面)は∞^2個,2次曲面は∞^1個の直線を含み,一般の3次曲面ではその数は高々有限個(27本)です.それに対して,一般のn次曲面(n>3)は直線を全然含んでいません.
1849年,ケーリーは滑らかな3次曲面はすべてある一定数の直線を含むこと,サルモンはその数は27であることを証明しました.アルキメデスの墓石に円柱・円錐・球,ガウスの墓石に正17角形が彫られた如く,ケーリーとサルモンの墓石には27本の直線を彫るべきだとシルベスターがいったことは19世紀にこれらの3次曲線がいかに重要視されたかを物語っています.
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