■円周率(その1)
【4】円周率の現代史
[1]ラマヌジャン級数
1/π=2√2/99^2Σ(4k)(1103+26390k)/(4^k99^kk!)^4
は不思議な式です.右辺のΣ以降はともかくとして
2π√2=99^2/1103
だけでも,私にはその意味を見抜くことができません.収束は早いのですが,長い間,証明されなかった理由がそこにあります.
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[2]BBP公式
1996年に,ベイリー,ボールウェイン,プラウフによりBBP公式が見いだされました.
π=Σ1/16^n(4/(8n+1)−2/(8n+4)−1/(8n+5)−1/(8n+6))
はコンピュータを使って,コンピュータのために発見された異色の式といえます.
この公式の不思議な点は,円周率を16進法で表すとき,任意の桁(たとえば1000桁目)を直接計算できるという点です.自己修正できるとでもいうべきか,たとえば,527桁目で間違えようと,その後の計算は無効にならず,1000桁目は正しいのです.
円周率πの計算や巨大な素数の発見はコンピュータシステムの信頼性や処理速度といった性能をテストするのに最適ですが,BBP公式は16進法に特化していて,BBP公式を使うと任意の位置にある数を非常に効率よく求めることができ,たとえば,πを2進数展開したとき1000兆桁目の数字は何か? n番目の桁をそれ以前のn−1番目の桁を計算することなしに直接計算できるのです.求めるのは小数部分だけですから整数部分はどんどんカットしながら計算していけばよいので,計算が簡単になるのです.ただし,修正できるのは16進計算した場合のみで,いまのところ,10進法で使えるような公式は発見されていません.
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