■無限級数(その5)
【4】オイラー積
ところで,ゼータ関数は
ζ(s)=1/1s +1/2s +1/3s +1/4s +・・・=(1+1/2s +1/4s +1/8s +・・・)(1+1/3s +1/9s +・・・)(1+1/5s +・・・)・・・
=1/(1−2-s)・1/(1−3-s)・1/(1−5-s)・1/(1−7-s)・・・=Π(1−p-s)-1 (ただし,pはすべての素数を動く.)
と書き換えることができます.
この式の右辺はオイラー積と呼ばれ,ゼータ関数と素数の間をつなぐ式になっています.すなわち,ゼータ関数はすべての自然数をわたる無限和であるとともに,すべての素数をわたる無限積であり,このような関係から,自然数全体についての和の話が素数全体についての積の話になります.
数学は無限の科学といわれていますが,πの無限級数が無限にある素数と深く関係していたのです.この発見により整数論,たとえば素数の分野の研究でゼータ関数は重要になりました.オイラーによって考え出されたこの関数はフェルマー予想やリーマン予想などまったく思いがけないほど多くの数学の分野と関連することになったのです.
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