■無限級数(その4)
【3】ゼータ関数の収束と発散
すべての自然数に関する一般のオイラー級数
Σ1/n^s=1/1^s+1/2^s+1/3^s+1/4^s+・・・
はs>1のとき収束し,0<s≦1のとき発散することは微分積分学を使って簡単に証明されます(y=1/x^sの積分の値と比べると,s>1ではΣ1/n^s<∫1/x^sdx,s≦1では逆向きの不等式となる).したがって,
ζ(1/2)=Σ1/n^1/2,ζ(1)=Σ1/nは発散し,ζ(2)=Σ1/n^2は収束します(収束値はπ2 /6).
それと関連して,y=1/xの回転体である「トリチェリのラッパ」の表面積は無限大であるが,体積は有限であることを示すことができます.
1/1^3+1/2^3+1/3^3+1/4^3+・・・→1.20・・・
「トリチェリのラッパ」のパラドックスは,ゼウスの漏斗,ガブリエルのホルンともよばれることがあるのですが,体積有限・表面積無限の例として,同様に
1/√1+1/√2+1/√3+1/√4+・・・→∞
1/1√1+1/2√2+1/3√3+1/4√4+・・・→2.61・・・
も容易に示すことができます.ここでは,ζ(3/2)=Σ1/n^3/2が収束することを微分積分学を使わずに証明する方法を紹介します.
(証明)n≧2に対して,
1/n^3/2=2/{n^1/2・n^1/2(n^1/2+n^1/2)}
<2/{n^1/2・(n−1)^1/2(n^1/2+(n−1)^1/2)}
=2(n^1/2−(n−1)^1/2)/{n^1/2・(n−1)^1/2(n−(n−1))}=2/(n−1)^1/2−2/n^1/2
Σ1/n^3/2=1+(2/1^1/2−2/2^1/2)+(2/2^1/2−2/3^1/2)+・・・+(2/(n−1)1^1/2−2/n^1/2)
=1+2−2/n^1/2=3−2/n^1/2<3
したがって,Σ1/n^3/2は収束する.
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