■超越数(その1)
古代ギリシャのピタゴラス学派は√2や黄金比(1+√5)/2を発見し,それらが有理数ではないことを知って驚きましたが,超越数の研究が本格的に始まったのは,1844年,リューヴィルによる超越数の発見以後のことです.
説明するまでもないかもしれないが,整数の比で表せない数を無理数(例:√2)と呼びます.いい換えれば,整数係数の1次式の根にはならない数が無理数なのです.無理数の中でも,整数係数多項式の根となる数が代数的数(例:3√5はx^3−5=0の根)であり,それに対して,超越数とは整数係数のどのような代数方程式の根にもならない数(例:π,e)のことです.
数には整数,分数,根号数,超越数などの種類があり,整数,有理数,代数的数,実数という階層をなしているというわけです.整数,分数,根号数は数直線のうちのほんのわずかな部分を占めるにすぎず,数直線上の数の大部分を占めるのはπやeなどの超越数です.超越数は無理数であり,無理数のほとんどは超越数であることが証明されています.実数から無作為にひとつ数を選ぶとしたら,それは超越数であって,無理数は超越数の候補ではありますが,超越数とは別の由来をもち,次元の異なる数なのです.
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