■無理数(その3)
2で割ることができない2つの整数の積は2で割ることができません.3で割ることができない2つの整数の積は3で割ることができません.この議論は5でも適用され,5で割ることができない2つの整数の積は5で割ることができません.しかし,6ではこの議論は適用できず,検証すべき場合分けが増えていきます.それでもこの議論を続けていけば√5,√6,√7,・・・も無理数であることを確認できるのですが,一般的にnが平方数でなければ√nは無理数であることを証明するには不十分です.そこで,以下のようにすれば,古代から知られ高校の教科書に載っているものとあまり変わりなく,しかし,異なった味あいがする証明になります.
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【4】nが平方数でなければ√nは無理数である
(証) √nが有理数であるとし,√n=p/qとおくと,
p^2=nq^2
が成り立つ.素因数分解p=p1p2・・・pr,q=q1q2・・・qs,n=n1^i1n2^i2・・・nk^ik (p1≦・・・≦pr,q1≦・・・≦qs,n1<・・・<nk)を代入すれば
p1^2p2^2・・・pr^2=n1^i1n2^i2・・・nk^ikq1^2q2^2・・・qs^2
nは平方数ではないから,i1,・・・,ikのうち少なくともひとつは奇数,そこでilが奇数であるとする.しかし,p1^2p2^2・・・pr^2とq1^2q2^2・・・qs^2に現れるnlの個数は0または偶数であるから,素因数分解の一意性に矛盾する.
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