■整数の表現(その4)

【2】ルジャンドルの4平方和定理

ラグランジュの4平方和定理に引き続き,ルジャンドルの4平方和定理とは,

  x^2+y^2+z^2+mw^2   (m=1,2,3,4,5,6,7)

はすべての正の整数を表現することができるというものです.m=1の場合がラグランジュの4平方和定理です.

===================================

【3】ラマヌジャンの4平方和定理

ラグランジュの定理では,どんな自然数でも

  x^2+y^2+z^2+w^2

の形に書けること,ルジャンドルの定理ではどんな自然数でも

  x^2+y^2+z^2+mw^2  (m=1,2,3,4,5,6,7)

の形に書けることを主張していますが,4変数2次形式では,たとえば,

  2w^2+3x^2+4y^2+5z^2

は1だけを表すことができないこと,

  w^2+2x^2+5y^2+5z^2

は15だけを表すことができないことがわかっています.

それでは,どんな自然数が

  Ax^2+By^2+Cz^2+Dw^2

の形で書け,すべての整数がAx^2+By^2+Cz^2+Dw^2の形に表せるのでしょうか? これには,54通りの組み合わせしかないことが知られています.(A,B,C,D)=(1,1,1,1),(1,1,1,2),(1,1,1,3),(1,1,1,4),(1,1,1,5),(1,1,1,6),(1,1,1,7),(1,1,2,2),(1,1,2,3),(1,1,2,4),(1,1,2,5),(1,1,2,6).(1,1,2,7),(1,1,2,8),(1,1,2,9),(1,1,2,10),(1,1,2,11),(1,1,2,12),(1,1,2,13),(1,1,2,14),(1,1,3,3),(1,1,3,4),(1,1,3,5),(1,1,3,6),(1,2,2,2),(1,2,2,3),(1,2,2,4),(1,2,2,5),(1,2,2,6),(1,2,2,7),(1,2,3,3),(1,2,3,4),(1,2,3,5),(1,2,3,6),(1,2,3,7),(1,2,3,8),(1,2,3,9),(1,2,3,10),(1,2,4,4),(1,2,4,5),(1,2,4,6),(1,2,4,7),(1,2,4,8),(1,2,4,9),(1,1,2,9),(1,2,4,10),(1,2,4,11),(1,2,4,12),(1,2,4,13),(1,2,4,14),(1,2,5,6),(1,2,5,7),(1,2,5,8),(1,2,5,9),(1,2,5,10)

===================================

【4】ラグランジュの定理とラマヌジャンのリストの間に

ラマヌジャンのリストを鑑賞してみましょう.x^2+y^2+z^2+w^2からx^2+2y^2+5z^2+10w^2まで,すべて

Ax^2+By^2+Cz^2+Dw^2  (A≦B≦C≦D)

の形をしていて,54通りあります.4変数2次形式では,どんな自然数でも

  x^2+2y^2+3z^2+4w^2

の形で書けるというわけです.

容易にわかるようにA=1でなければなりません.たとえば,2w^2+3x^2+4y^2+5z^2は1だけを表すことができません.そこで,A=B=C=1から始めると,答えはD=1,2,3,4,5,6,7になるのですが,それがルジャンドルの4平方和定理です.つまり,ラグランジュ・ルジャンドルの定理はラマヌジャンの定理に内包されているのです.

このリストは20世紀初頭,ラマヌジャンによってコンピュータの助けなしに特定されました.(1,2,5,5)はラマヌジャンのリストには載っていませんが,当初は不備があって(1,2,5,5)も含められてしまったとのことです.w^2+2x^2+5y^2+5z^2は15をそして15だけを表すことができないのです.

===================================