■ガリレオの勘違い(その2)

 ガリレオが最速降下線と勘違いしていたのは円弧だったようです.また,ガリレオが懸垂線と間違って信じていたのは放物線だったようです.

 微分積分学誕生以前の話です。

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最速降下線

自重のみの影響下で最短時間で到達する経路について、ガリレオは円弧を予想していた。ヨハン・ベルヌーイは屈折の法則を応用して

  y0-f(x)=2R/(1+f'(x)^2)

を解いて、サイクロイドが解であることを示した。

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 経路の始点を(0,0),終点を(x0,y0)とすれば,始点・終点を通るサイクロイドは必ずただ1本存在するのでそれが最速降下線になります.特に経路に高低差がない(y0=0)場合は水平距離x0=2πaとなるように円の半径aを選べますから計算は簡単になります.

 始点・終点に高低差がある場合は,あるθに対して非線形方程式

  x0=a(θ−sinθ),y0=a(1−cosθ)

を満足させるようにaを決める必要があります.このとき,x0>πaであれば経路が低いところから高いところへ上昇する部分をもつことになります.

 経路に制約がない場合,すなわち,経路が低いところから高いところへ上昇する部分をもつことを許す場合にはこれだけでよいのですが,結論にはまだ先があります.

 終点より低いところを通る経路を許さない場合について考えてみましょう.その場合,経路の高低差を2aとして,水平距離x0が2aに比べて十分大きい場合(x0>πa)にはサイクロイドの前半部分に水平線を繋いだ曲線が最速降下線になります.

 x0<πaの場合は傾斜が急なので水平部分を繋ぐ必要はありません.生成円を半回転させたときサイクロイドは最低点に達します.このとき,始点と最低点を結ぶ半直線の勾配は

  tanφ=2/π  (φ=32.4817°)

ですから,始点と終点を結ぶ半直線の勾配がこれを越える場合と言い換えることもできるでしょう.

  tanφ=1

の場合、ガリレオが予測した円弧よりも短時間で到達させるためには、そのようにします。

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