■コペルニクスの逆定理(その14)
ドリルの問題ではローターの自転と公転が反対回り,ロータリーエンジンでは同じ向きという違いがありますが,その他に固定円と回転円の関係が逆になることも異なります.
ドリルやロータリーエンジンの設計は正n−1角形を原点を中心とする円周上を公転させながら自らも自転することにより得られる曲線(ペリトロコイド曲線)を決定する問題となるのです
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【Q2】円周1の小円がある.この円を内接させながら円周mの大円が転がるとき,1周するまでに大円は何回転するか? また,外接しながら転がるときは何回転するか?
(A2)Q1において,小円(転円)が次第に大きくなり,大円(定円)の大きさを超えたとき,次のように定式化することができる.
α:大円の中心の小円の中心に対する公転角
β:大円の自転角
として,弧の長さを等しいとおけば
α=m(α−β) → m=α/(α−β)
β/α=(m−1)/m
すなわち,1−1/m回転.
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ドリルでは公転角と自転角が反対回りであったが,ロータリーエンジンは同じ向きなので,ローターに固定された点の軌跡は
x=Rcos(β+γ)+acosα
y=Rsin(β+γ)+asinα
で表されることになる.
回転子(内歯車,歯数r)
固定子(外歯車,歯数s)
とおくと,大円の円周は小円のr/s(=m)倍と考えることができる.そして,ローターの(n−1)公転で1回転(自転)するから,
β/α=1/(n−1)
に,m=r/sを代入すると
β/α=(m−1)/m=1/(n−1)
(r−s)/r=1/(n−1)
が求める式となる.
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逆に,内側の円を固定させて,外側の円をそれに外接させながらそのまわりを回転させる場合は
α=m(β−α) → m=α/(β−α)
β/α=(m+1)/m
外接させる場合はm−1の代わりにm+1が現れ,1+1/m回転となる.
内接のときと外接のときとでは,大円の回転する方向が逆になるから
x=Rcos(−β+γ)+acosα
y=Rsin(−β+γ)+asinα
β/α=1/(n−1)
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