■コペルニクスの逆定理(その9)

  x=r1cosω1t+r2cosω2t

  y=r1sinω1t+r2sinω2t

は,ω2=−ω1のとき楕円を描きますが,

  ω1/ω2=k,r2/r1=|k|

という比をもつとき,kサイクロイドを描くことになります.

 kが無理数のときは代数的ではなく,半径がr1+r2,|r1−r2|の2つの円で囲まれた環状領域を埋めつくします.kが有理数のときは周期的となり,サイクロイドは代数曲線であることが証明されています.たとえば,アステロイドとネフロイドは6次曲線,カージオイドとデルトイドは4次曲線です. 

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【2】トロコイド曲線の周期

  x=acosα+bcosβ

  y=asinα+bsinβ

において,β=nαの場合を考えてみます.この曲線は半径aの円と半径bの円の回転運動の組み合わせになるわけですが,前者の周期は2π,後者の周期は2π/nとなり,周期がトロコイド曲線の次数に対して最も本質的な影響を及ぼすことは直ちに理解できます.

 後者が1回転したとき,前者はまだ1/n回転しかしていません.周期的となるためには両者が同時に整数回回転しなければなりません.nが整数ならば後者がn回転したとき前者は1回転するのですが,nが有理数の場合,たとえばn=6.03のときは後者がr回転したとき,前者はr/6.03回転ですから,これが整数となるためにはr=603回転必要になります.

  x=mcosθ+cosmθ

  y=nsinθ−sinnθ

の場合はr/mとr/nが同時に整数にならなければなりません.m=n=6.03ならばr=603ですが,m=6.01,n=6.03ならば前者が1回転したとき後者は6.01/6.03回転ですから,6.01r/6.03が整数となるrを求まなければなりません.計算は省略しますが,かなり次数の高い代数曲線となることがわかります.

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 n個の尖点をもつハイポサイクロイド

  x=(n−1)rcosθ+rcos(n−1)θ

  y=(n−1)rsinθ−rsin(n−1)θ

  a=(n−1)、b=1

 一方,エピサイクロイドは地球から見たときの惑星の逆行運動の説明に用いられた曲線で,古代ギリシア人は,惑星の動きを表現するために周転円(円の周りをまわる円)を考えていたことが知られています.エピサイクロイドは

  x=(n+1)rcosθ−rcos(n+1)θ

  y=(n+1)rsinθ−rsin(n+1)θ

  a=(n+1)、b=1

で与えられます.

 滑らないための条件は弧長が等しくなることではなく、それぞれ、n-1回転、n+1回転自転することによって公転軌道を1周することです。

  aα=bβ

は、この条件を満たしています。

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