■初等幾何の楽しみ(その145)

 ひもの両端を固定しぶら下げてできる曲線を懸垂線(カテナリー)といいます。

懸垂線はちょっと考えると放物線ではないかと思われがちですが、放物線よりもずっときつく上昇する曲線で、代数曲線ではありません。

懸垂線は双曲線関数

y=a/2(expx/a −exp-x/a )

によって定義されます。

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 懸垂線の問題を解いたのがベルヌーイであったのですが、変分法によって、懸垂線は与えられた2点を両端とする一定の長さの曲線をx軸を軸として回転させたときにできる曲面の表面積を最小にする曲線であることが導かれます。

なお、体積が最大になる曲線は楕円関数になります。

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【補】双曲線関数

 オイラーの公式expix=cosx+i・sinxより

sinx=(expix−exp-ix)/2,

cosx=(expix+exp-ix)/2が導かれますが、この右辺からiを取り去って

sinhx=(expx −exp-x)/2,

coshx=(expx+exp-x)/2

と定義される関数がそれぞれ双曲正弦関数、双曲余弦関数です。

 すなわち、双曲余弦関数が懸垂線で、三角関数との関係は、

sinhix=isinx,coshix=cosx

になっています。 双曲線関数は、当然ながら三角関数とよく似た性質があり、sinhxは奇関数、coshxは偶関数で、

cos^2x+sin^2 x=1に対応して

cosh^2x−sinh^2x=1が成り立ちます。

この式が双曲線の標準形:

x^2/a^2 −y^2/b^2=1

に似ていることから、双曲線関数という名前の由縁になっています。ちなみに三角関数のことを円関数ともいいます。

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