■ベルヌーイとオイラー(その6)
素数が無限に存在すること,√2が無理数であることは,ギリシア数学のなかでも有名な定理です.それぞれユークリッドとピタゴラスが背理法を用いて証明していますが,その証明はだれしもが容易に理解できるものです.eの無理数性も背理法を用いて,わりに容易に示すことができます.そこで,eは無理数・・・
[Q]e=1+1/1!+1/2!+1/3!+・・・+1/n!+・・・が無理数であることを証明せよ.
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(証)整数p,qが存在して,
p/q=1+1/1!+1/2!+1/3!+・・・+1/n!+・・・
のように書けるものと仮定する.
p/q=(1+1/1!+1/2!+・・・+1/q!)+(1/(q+1)!+1/(q+2)!+・・・)
両辺をq!倍すると,
p(q−1)!=(q!+q!/1!+q!/2!+・・・+q!/q!)+(1/(q+1)+1/(q+1)(q+2)+1/(q+1)(q+2)(q+3)+・・・)
ここで,p(q−1)!は整数,(q!+q!/1!+q!/2!+・・・+q!/q!)も整数.
また,
1/(q+1)+1/(q+1)(q+2)+1/(q+1)(q+2)(q+3)+・・・
<1/(q+1)+1/(q+1)(q+1)+1/(q+1)(q+1)(q+1)+・・・=1/q
となり,
1/(q+1)+1/(q+1)(q+2)+1/(q+1)(q+2)(q+3)+・・・
は小数であることがわかる.
以上より,整数=整数+小数となって矛盾.eが有理数であるという仮定に誤りがあり,有理数ではあり得ないことを示している.したがって,eは無理数である.
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1744年,オイラーはこのようにしてeの無理数性を示したのですが,さらに,1873年,エルミートはeが超越数であることを証明しました.これに対して,πが無理数であることを示したのはランベルト(1761年)であり,最終的にリンデマンがπが超越数であること証明しました(1882年).リンデマンはエルミートの方法を発展させ,πの超越性を示したのです.
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