■学会にて(国際シンメトリ会議)

 先週、金沢工業大学で開催された国際シンメトリ会議に初参加。参加者の多くはアーティスト・クリエータ・パフォーマであって、幾何学者は少ない。そのためか、会議の雰囲気は幼児が大好きなおもちゃで何時間も飽きることなく遊び続けるように、月から土の6日間にわたり朝から夜まで議論が続いた(運営スタッフはさぞかし疲労困憊であろう)。

 私は2日間のみの参加であったが、無邪気にシンメトリと遊び戯れることの大切さがおぼろげながら見えてきた。幾何学=戯画学の本質とはアタマだけでなく,目耳鼻手を働かせて真剣に遊ぶことが研究なのである。

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 私の発表は「ワイソフ多胞体の計量」に関するお堅い内容であったが、秋山仁先生との連名になっていて、登壇すると議長のデニス(ハンガリー人)が私を紹介する際に、秋山先生はハンガリーではとても有名、彼と連名になっているからには私もさぞかし有名な数学者であるに違いないと勘違いしたようである。

 思わぬ「秋山効果」のおかげで発表自体はとてもスムーズにいった。図を多用した発表であったが、高次元図形の美しさを素直に受け入れてくれたのだと思う。

 数学者の場合「感じる」より先に「理解」できるかどうかが問題なので、参加者が理解できないのは発表者が「定義」について十分な説明をしていないからだと逆ギレされてしまうか、あるいは、内容を理解できないまま無視されてしまうかいずれかである。その点、どのような形にせよ反響があったことは上出来だったと思う。

 ともあれ、幾何学に王道なし,たとえ一国の王といえども努力しないで数学を習得するための近道はなく,自分の足で目的地へ到達しなくてはならないのだ.

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