■ハンドルの球面埋め込み(その2)
20世紀のうちに解決された悪名高き難問に,四色問題
「任意の平面地図は高々4色で色分けできるか?」
がある.5色で色分けできることはヒーウッドによって100年以上も前から知られていたが,四色問題が肯定的に解決されたのは1970年代後半のことで,アペルとハーケンはコンピュータを使ってこの証明を成し遂げた.四色問題の証明は場合分けの数が膨大で,コンピュータによる解析に依存せざるを得なかったのである.
3次元のn個の領域を塗り分けるにはn色必要な例を作ることができる.それに対して2次元では「どんな平面地図でも4色で塗り分けられる」ことが証明されたのだが,多くの数学者はこの証明においてコンピュータによる解析が本質的だと知ると落胆し,失望したと伝えられている.
その証明は1995年にロバートソンらによって改良されてかなり簡単になったとはいえ,いまだ手計算で証明を完成させた人はいない.ともあれ,四色問題がグラフ理論の発展に対する推進力となったことは確かである.
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