■学会にて(京大数理解析研,その49)
【1】連分数展開
連分数展開が有限で終わることと有理数であることは同値です.そこで,2次方程式の解となる√nの連分数展開を求めると,たとえば
√2=[1:2,2,2,2,・・・]
√3=[1:1,2,1,2,1,2,1,2,・・・]
√7=[2:1,1,1,4,1,1,1,4,・・・]
のように循環型の単純連分数に展開されることが知られています.一般に,2次の無理数(整数係数の2次方程式の解)は周期的な連分数展開をもちます(ラグランジュの定理).
平方根を無限連分数に表す手順はわりやすく,たとえば,1<√2<2であるから
√2=1+(√2−1)
=1+1/(√2+1) 2<√2+1<3
=1+1/{2+(√2−1)}
=1+1/{2+1/(√2+1)}
=1+1/{2+1/(2+(√2−1)}
=1+1/{2+1/(2+1/(√2+1)}
=1+1/{2+1/{2+1/{2+1/{2+・・・
の手順を何度も繰り返すことにより,
√2=[1:2,2,2,2,・・・]
ができあがります.
また,黄金比φ=(1+√5)/2は,
φ=[1:1,1,1,,1,・・・]
で表されます.
ここでは,m進展開の代わりに連分数展開を用いて数の集合を定義してみますが,たとえば,正の実数が無限連分数展開され,そのすべての部分商が1または2であるような実数の集合のハウスドルフ次元は0.531280506・・・であることが計算されています.
しかし,3次以上の方程式の解,たとえば3√2の連分数展開を求めると,
3√2=[1:3,1,5,1,1,4,1,1,8,1,14,1,10,2,1,4,・・・]
の一般項は求めることができません.この展開に現れる整数に最大値があることも示すこともできないのです.
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