■学会にて(京大数理解析研・その42)

 任意の無理数γを与えたとき,

  γ^n=[γ^n]+{γ^n}

において,γ^nの非整数部分{γ^n}のn=1,2,3,・・・としたときの分布については,どのようなより強い結果,より深い結果が得られるのであろうか?

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[1]τ=(1+√5)/2,γn={τ^n}とする.γnは[0,1]で一様分布しないのであるが,ここでは一番近い整数との距離ではなく,非整数部分

  τ^n=[τ^n]+{τ^n}

を調べてみると

  {τ^1}=.61803=1−.38179

  {τ^2}=.61803=1−.38179

  {τ^3}=.23607

  {τ^4}=.85410=1−.14590

  {τ^5}=.09017

  ・・・・・・・・・・・・・

となって,0または1に近づくことがわかる.

[2]最高次の係数が1,それ以外の係数が{−1,0,1}だけからなる黄金比の多項式で表せる数全体をの集合S(τ)を考えてみる.

 すると,S(τ)は実軸上,

[1]隣り合う2点間の距離は一定値R以下(相対稠密)

[2]隣り合う2点間の距離は一定値r以上(一様離散)

という2つの重要な性質を満たしている.

  τ=(1+√5)/2=α,(1−√5)/2=β

とおけば,これらはx^2−x−1=0の2根で,

  α+β=1,αβ=−1

α^n+β^nは常に整数となる.このとき,

  |β^n|→0,|α^n|→整数

[3]一様離散性(反発力)の証明

 最高次の係数が1,それ以外の係数が{ai|−1,0,1},{bi|−1,0,1}だけからなる黄金比の多項式から,

  A=Σ(an−bn)α^n

  B=Σ(an−bn)β^n

を考える.

 |an−bn|≦2より,

 |B|≦2/(1−|β|)

 また,ABはp=α+β,q=αβの整数係数多項式になるので,ABは整数になる.|AB|≧1

  |A|≧1/|B|≧(1−|β|)/2=.19098>0

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