■フェルマーの小定理とウィルソンの定理(その7)

 (その6)を補足.

 一般に,pを素数,kをp−1で割り切れない正の整数とするとき,

  1^k+1/2^k+1/3^k+・・・+1/(p−1)^k

の分子はpで割り切れる

 =1^k+2^k+3^k+・・・+(p−1)^k

がpで割り切れることが示されています.

 コラム「ウォルステンホルムの定理」では

  1^k+1/2^k+1/3^k+・・・+1/(p−1)^k

 =1^k+2^k+3^k+・・・+(p−1)^k  (mod p)

であることを用いているのですが,これは,

  1=1,1/2^k=2^k,1/3^3=3^k,・・・,1/(p−1)^k=(p−1)^k  (mod p)

という意味ではありません.各逆数1/1,1/2^k,・・・,1/(p−1)^k  (mod p)は,すべての剰余1,2^k,・・・,(p−1)^k  (mod p)をきっかり1回だけ覆うという意味で,再配列によって

  1+1/2^k+1/3^k+・・・+1/(p−1)^k

 =1+2^k+3^k+・・・+(p−1)^k  (mod p)

となるのです.

 ここでも同様で,

  1=g,2^k=(2g)^k,3^3=(3g)^k,・・・,(p−1)^k=((p−1)g)^k  (mod p)

という意味ではありません.1,2^k,・・・,(p−1)^k  (mod p)は,g,(2g)^k,・・・,((p−1)g)^k  (mod p)をきっかり1回だけ覆うという意味で,再配列によって

  1^k+2^k+3^k+・・・+(p−1)^k

 =g^k+(2g)^k+(3g)^k+・・・+((p−1)g)^k  (mod p)

となるのです.

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