■ゼータの香りの漂う公式の背後にある構造(その117,杉岡幹生)

(杉岡)悩んでいたL(1)n分割の微分方程式ですが、結局、(ガウスの)超幾何微分方程式に移行でき、その解がGoldberg関係式に似たものになりました。

次のものです。

n=1⇒ y=(1-x)^1=1 -x

n=2⇒ y=(1-x)^2=1 -2x +x^2

n=3⇒ y=(1-x)^3=1 -3x +3x^2 -x^3

n=4⇒ y=(1-x)^4=1 -4x +6x^2 -4x^3 +x^4

n=5⇒ y=(1-x)^5=1 -5x +10x^2 -10x^3 +5x^4 -x^5

n=6⇒ y=(1-x)^6=1 -6x +15x^2 -20x^3 +15x^4 -6x^5 +x^6

・・・・

(その112)のGoldberg関係式と(本質的に)ほぼ同じですよね?

交代級数の符号も同じ。ゼータは幾何学とも関係あるんでしょう・・

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[2]Goldberg関係式(ねじれる前を表現する)

 3a^2-3b^2+c^2=0

 4a^2-6b^2+4c^2-d^2=0

 5a^2-10b^2+10c^2-5d^2+e^2=0

 6a^2-15b^2+20c^2-15d^2+6e^2-f^2=0

 これらは係数は二項係数、符号が交代で現れるというもので

す。

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既に示してきたように、L(1)n分割の微分方程式は、

(t^2+1)y´´-2(n-1)ty´+n(n-1)y=0 ---@   (n=1,2,3・・)

です。

 @を既存の微分方程式に還元して、既存の多項式に帰着することが目標だったのですが、一応できたと思います。

 @のtをt=(2x-1)/iで変数変換すれば(iは虚数単位)、次の超幾何微分方程式に移行できます。

 x(x-1)y´´-(1-n-2(1-n)x)y´+n(n-1)y=0 ----A

 Aの解の超幾何級数y=F(a,b;c;x)から、a=-n, b=1-n, c=1-nとして、求めた結果が冒頭の

 y=(1-x)^n

です。単純な二項展開式です。

 L(1)n分割がこんな単純なものに繋がったのには驚きましたが、ゼータはシンプルできれいなので納得もします。

 詳細はまた送りますが、概要はこんなところです。ゼータ分割が、Goldberg関係式という幾何学に結びついたことがうれしいです。  (杉岡幹生)

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