■固有値と零点(その13)

[定理]単位円に内接する正多角形の対角線の長さの平方和は頂点数の2乗に等しい.単位球に内接する正多面体の対角線の長さの平方和は頂点数の2乗に等しい.この定理をΣd^2=v^2と表すことにする.

 それに対して</P>

[定理]正n角形が半径1の円に内接している.ひとつの頂点からでるすべての辺と対角線の長さの積は頂点数に等しい.

はΠd=vあるいは同じことであるがΠd^2=v^2で表される.両者を対比するにΣd^2=v^2とΠd^2=v^2の方が何かと都合がよかろう.

 前者はベクトルの観点から証明したが,今回のコラムでは後者の証明を与えることにしたい.

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 後者に対してもベクトルとか三角法(座標幾何学)あるいは複素数を使ったアプローチが考えられるところであるが,とりわけ複素数(複素指数関数)は有望であるように思われる.また,nの固定値(n=5とかn=6,n=9など)に対しても証明できるが,一般的なnの場合を扱うことにする.

 複素平面上の単位円にn個の頂点z0=1,z1,z2,・・・,zn-1をもつ正n角形が内接しているとする.

  zk=cos(2kπ/n)+isin(2kπ/n)

z0〜zn-1は方程式z^n−1=0の根である.また,

  z^n−1=(z−1)(z^n-1+・・・+z+11)

より,z1〜zn-1は方程式z^n-1+・・・+z+1=0の根である.

 したがって,

  z^n-1+・・・+z+1=(z−z1)(z−z2)・・・(z−zn-1)<

と因数分解できるが,ここでz=1を代入すると

  (1−z1)(1−z2)・・・(1−zn-1)=n

  |1−z1||1−z2|・・・|1−zn-1|=n   (QED)

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