■フルビッツのゼータ関数(その12)
【1】リーマンのゼータ関数
自然数のs乗の逆数の和:
ζ(s)=Σn^(-s)=1/1^s+1/2^s+1/31^s+1/4^s+・・・
をsの関数とみて,リーマンのゼータ関数が定義されます.
s1(x)=sin(πx)/πの無限積表示
xΠ(1-x^2/n^2)=x-ζ(2)x^3+1/2(ζ(2)^2-ζ(4))x^5+・・・
また,無限和表示(テイラー展開)は
s1(x)=sin(πx)/π=x-π^2/6x^3+π^4/120x^5+・・・
ですから,これらを比較して,ゼータ関数の特殊値
ζ(2)=π^2/6,ζ(4)=π^4/120,ζ(6)=π^6/945,・・・
が得られます.
また,exp(-cx^2)のフーリエ変換はまた同じ形で与えられることから,テータ関数に対するヤコビの変換公式
θ(t)=Σexp(-πn^2t)=1/√(t)Σexp(-πn^2/t)
とガンマ関数
Γ(s)=∫(0,∞)exp(-t)t^(s-1)dt
を用いると,ゼータ関数の関数等式(保型性)
ζ(s)=2^sπ^(s-1)sin(sπ/2)Γ(1-s)ζ(1-s)
が得られます.
これを,対称性の高い形に書くには
ζ~(s)=π^(-s/2)Γ(s/2)ζ(s)
と定義するとよく,
ζ~(s)=ζ~(1-s)
となることがわかります.
この対称性はs=1/2の軸に関するものですが,ζ(s)の零点がs=-2,-4,・・・,-2n,とs=1/2+itの線上にあるというのが有名なリーマン予想(1859年)です.この予想は一部に素数定理なども含む数学上の最大の難問であって,いまだ未解決です.
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