■おかあさんのための数学教室(その112)

【1】ウォルステンホルムの定理</P>

 「pが2,3以外の素数ならば有限調和級数(既約分数)

  1+1/2+1/3+・・・+1/(p−1)

の分子はp^2で割り切れる.

 たとえば,p=5のとき,この分数は25/12となり,その分子はp^2で割り切れます.

(Q)p>3が素数ならば,既約分数

  1+1/2+1/3+・・・+1/(p−1)

の分子はp^2で割り切れることを証明せよ(ウォルステンホルムの定理,1862年).

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(A)素数pによる整除性ではなく,素数の平方p^2による整除性なのでかなり難しい問題である.そこで,素数による整除性の問題に帰着させてより解きやすいものにしたい.そこでまず

  1+1/2+1/3+・・・+1/(p−1)=0  (mod p)

を証明するしよう.

  1+1/2+1/3+1/4=1+3+2+4=0  (mod 5)

であるが,

  4=−1,3=−2  (mod 5)

を使えば,

  1+1/2+1/3+1/4=1−2+2−1=0  (mod 5)

 同様に,

  p−1=−1,p−2=−2,・・・  (mod p)

であるから

  1+1/2+1/3+・・・+1/(p−1)=0  (mod p)

を証明することができる.

 次に,1/1と1/(p−1),1/2と1/(p−2),・・・をペアに組ませると

  1+1/2+1/3+・・・+1/(p−1)  (mod p^2)

 =1+1/(p−1)+1/2+1/(p−1)+・・・+1/(p−1)/2+1/((p+1)/2)

 =p(1/(p−1)+1/2(p−2)+・・・+1/(p−1)/2+(p+1)/2)  (mod p^2)

 したがって,

 1/(p−1)+1/2(p−2)+・・・+1/(p−1)/2+(p+1)/2=0  (mod p)

  p−1=−1,p−2=−2,・・・  (mod p)

であるから,

 1/1^2+/2^2+1/3^2+・・・+1/(p−1)^2=0  (mod p)

が成り立つことをを示しさえすればよい.

 1/1^2+/2^2+1/3^2+・・・+1/(p−1)^2=1^2+2^2+3^2+・・・+(p−1)^2=(p−1)p(2p−1)/6=0  (mod p)

となって証明了.

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