■おかあさんのための数学教室(その98)

【1】調和級数と調和数

 幾何級数

  1/1+1/2+1/4+1/8+・・・

は2に収束します.

 無限回の計算は不可能ですからそのn次部分和Sn

  Sn =1/1+1/2+1/4+1/8+・・・+1/2^(n-1)

を求めてみることにします.これを計算するにはうまい手があります.

  Sn +1/2n-1

 =1/1+1/2+1/4+1/8+・・・+1/2^(n-1)+1/2^(n-1)

 =1/1+1/2+1/4+1/8+・・・+1/2^(n-2)

 =・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 =1/1+1/2+1/4+1/8+1/8

 =1/1+1/2+1/4+1/4

 =1/1+1/2+1/2

 =1+1

 =2

 よって,

  Sn =2−1/2^(n-1)

 nをどんどん大きくすると1/2^(n-1)はいくらでも小さくなり0に近づきますから,幾何級数は2に収束すると考えられます.この級数は各項の減少する割合が非常に大きいため単純な数に収束するのです.

===================================

 一般化された幾何級数

  g(s)=Σ1/s^n

は|s|>1のとき収束し,和g(s)=1/(s−1)をもつことはすぐに理解されます.

 一方,調和級数

  H∞=1/1+1/2+1/3+1/4+・・・

は,はじめの1000項で7.485,100万項で14.393,10億項で21.3,1兆項で28.2と非常にゆっくりとですが大きくなり,ついには無限大に発散します.調和級数が発散することは容易に示すことができます.

 1/3+1/4>1/4+1/4=1/2

 1/5+1/6+1/7+1/8>1/8+1/8+1/8+1/8=1/2

 ・・・・・

 したがって,

  H∞>1+1/2+1/2+1/2+1/2+・・・→∞

 幾何級数と調和級数とは,だんだん小さくなる正の分数の足し算という点では似ていますが,後者ではちりが積もって山となるわけで,その無限の果てにあるものは全く非なるものです.

===================================