■キスする球・キスする円

[1]kissing number

 n次元ユークリッド空間において,1つの単位球に同時に接触することのできる単位球の最大個数τnの正確な値を決定する問題は大変難しく,4次元以上の高次元については,高度に対称的な格子状配置になっている8次元(240個)と24次元(196560個)の場合を除いて未解決であり,現在,正確な値が知られているのは,

  τ1=2,τ2=6,τ3=12,τ4=24,τ8=240,τ24=196560

の6つだけです.τ4=24であることが証明されたのは2003年,ロシアの数学者ミュージンによってです.

[2]ケプラー予想

 3次元空間の球の充填問題は「ケプラー問題」と呼ばれるものですが,この問題は1998年にトマス・ヘールズとファーグソンによって証明されました.これにより「キャノンボール・パッキングよりも密度の高い3次元パッキングは存在しない」ことになります.また,n=24のとき,リーチ格子が唯一最密な球の詰め込みを与えることが証明されています(コーン,クマール:2004年).

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[3]4円定理

 4つの円が環になるように接している.このとき接点が4つできるが,これらは同じ円上の4点になっている.

[4]パスカルノ6角形定理

 円上に6点A,B,C,D,E,Fを取る.A→D→B→F→C→E→Aの順に繋ぐと3つの交点X,Y,Zが作られる.これらは同じ直線上の3点になっている.

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[Q]互いに接する半径1の3つの円がある.こられに内側から接する第4の円,外側から接する第4の円の半径を求めよ.

[A]ピタゴラスの定理を使っても解ける問題を思われるが,ここではデカルトの定理

  (k1+k2+k3+k4)^2=2(k1^2+k2^2+k3^2+k4^2)

   ri=1/ki

を用いてみたい.

 3つの円の曲率は1,第4の円の曲率をkとすると

  (3+k)^2=6+2k^2 → k=3±2√3

 内側から接する第4の円の半径は(正の方を採用して)

  r=1/(3+2√3)=(3−2√3)/3

 外側から接する第4の円の半径は(負の方を採用して)

  r=1/(2√3−3)=(2√3+3)/3

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