■ゼータの香りの漂う公式の背後にある構造(その94,杉岡幹生)
今回は、L(1)分解構造の中の『L(1)⇒L(1)7分割の分身』と『L(1)7分割の分身⇒L(1)14分割の分身』を調べたので報告します。
L(1)=1/1 -1/3 +1/5 -1/7 +1/9 -1/11 +1/13 -1/15 +1/17 - ・・=π/4
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ < L(1)分解構造 >
L(1)⇒L(1)2分割の分身⇒L(1)4分割の分身⇒L(1)8分割の分身⇒L(1)16分割の分身⇒・・・
L(1)⇒L(1)3分割の分身⇒L(1)6分割の分身⇒L(1)12分割の分身⇒L(1)24分割の分身⇒・・・
L(1)⇒L(1)5分割の分身⇒L(1)10分割の分身⇒L(1)20分割の分身⇒L(1)40分割の分身⇒・・・
L(1)⇒L(1)7分割の分身⇒L(1)14分割の分身⇒L(1)28分割の分身⇒L(1)56分割の分身⇒・・・
・・・・・・・・・・
このように一つの分身が二つに(倍に)分解する。素数を起点として倍々ゲームで無限に分解(分岐)していく。逆に無限の彼方から見れば、(先頭行を例にとると)・・・・⇒16分身⇒8分身⇒4分身⇒2分身⇒L(1)などとなっている。
厳密には予想ですが、こんなふうになっている。
(注記)
L(1)⇒L(1)4分割の分身⇒L(1)8分割の分身⇒L(1)16分割の分身⇒・・・
L(1)⇒L(1)6分割の分身⇒L(1)12分割の分身⇒L(1)24分割の分身⇒・・・なども当然成り立ちますが、略しました。理由は、前者は上の全体の様子での1行目に含まれており、後者は2行目に含まれていて、表示する必要がないからです(冗長になるので略)。素数のケースだけ書けば十分です。
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それでは、L(1)が7分割分身に分解し、L(1)7分割分身がL(1)14分割分身に分解する様子を見ます。7分割は(その30)の結果を利用し、14分割はこの頁ではじめて示します。
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<7分割は(その30)から抜粋>
■L(1)7分割
A1= 1 -1/27 +1/29 -1/55 +1/57 -1/83 + ・・ =(π/28)tan(13π/28)
A2=1/3 -1/25 +1/31 -1/53 +1/59 -1/81 +・・ =(π/28)tan(11π/28)
A3=1/5 -1/23 +1/33 -1/51 +1/61 -1/79 +・・ =(π/28)tan(9π/28)
A4=1/7 -1/21 +1/35 -1/49 +1/63 -1/77 +・・ =(π/28)tan(7π/28)
A5=1/9 -1/19 +1/37 -1/47 +1/65 -1/75 +・・ =(π/28)tan(5π/28)
A6=1/11 -1/17 +1/39 -1/45 +1/67 -1/73 +・・=(π/28)tan(3π/28)
A7=1/13 -1/15 +1/41 -1/43 +1/69 -1/71 +・・=(π/28)tan(π/28)
A1 -A2 +A3- A4 +A5 -A6 +A7=π/4=L(1) となります。
■L(1)14分割
B1= 1 -1/55 +1/57 -1/111 +1/113 -1/167 + ・・ =(π/56)tan(27π/56)
B2=1/3 -1/53 +1/59 -1/109 +1/115 -1/165 + ・・=(π/56)tan(25π/56)
B3=1/5 -1/51 +1/61 -1/107 +1/117 -1/163 + ・・=(π/56)tan(23π/56)
B4=1/7 -1/49 +1/63 -1/105 +1/119 -1/161 + ・・=(π/56)tan(21π/56)
B5=1/9 -1/47 +1/65 -1/103 +1/121 -1/159 + ・・=(π/56)tan(19π/56)
B6=1/11 -1/45 +1/67 -1/101 +1/123 -1/157 + ・・=(π/56)tan(17π/56)
B7=1/13 -1/43 +1/69 -1/99 +1/125 -1/155 + ・・=(π/56)tan(15π/56)
B8=1/15 -1/41 +1/71 -1/97 +1/127 -1/153 + ・・=(π/56)tan(13π/56)
B9=1/17 -1/39 +1/73 -1/95 +1/129 -1/151 + ・・=(π/56)tan(11π/56)
B10=1/19 -1/37 +1/75 -1/93 +1/131 -1/149 + ・・=(π/56)tan(9π/56)
B11=1/21 -1/35 +1/77 -1/91 +1/133 -1/147 + ・・=(π/56)tan(7π/56)
B12=1/23 -1/33 +1/79 -1/89 +1/135 -1/145 + ・・=(π/56)tan(5π/56)
B13=1/25 -1/31 +1/81 -1/87 +1/137 -1/143 + ・・=(π/56)tan(3π/56)
B14=1/27 -1/29 +1/83 -1/85 +1/139 -1/141 + ・・=(π/56)tan(π/56)
B1 -B2 +B3 -B4 +B5 -B6 +B7 -B8 +B9 -B10 +B11 -B12 +B13 -B14=π/4=L(1) となります。
念のため、上記B1〜B14に対しExcelマクロで数値検証しましたが、左辺の級数は右辺値に収束しました。右辺値の和もπ/4に一致しました。これらB1〜B14の導出方法は以下の通り。
=================================== < B1〜B14の導出方法 >
L(1)14分割式の導出過程を簡単に述べます。次の部分分数展開式を使います。
1/(1^2-x^2) +1/(3^2-x^2) +1/(5^2-x^2) +・・ =(π/(4x))tan(πx/2)
このxに(2m-1)/28の値を(m=14,13,・・・,2,1の順番で)代入することで、それぞれ分割級数B1〜B14が求まります。
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上記結果より、L(1)は7分割分身に分解することがわかります。これは(その30)で見たL(1)7分割そのものですから、既に確認した結果であり当然です。
次に、7分割と14分割の結果を見比べると、7分割分身はそれぞれ2個に分裂(分解)して14分割の分身になっていること気づきます。次の通りです。
A1 =B1 -B14 -----@
A2 =B2 -B13 -----A
A3 =B3 -B12 -----B
A4 =B4 -B11 -----C
A5 =B5 -B10 -----D
A6 =B6 -B9 -----E
A7 =B7 -B8 -----F
このように一つの分身が二つに割れていく。逆の見方をすれば、二つの分身が合わさって上のクラスの一個の分身になる。
その割れ方は(その85)で見たζ(2)「7分割の分身⇒14分割の分身」の割れ方と同じです(違いは、右辺で足すか引くかの違いだけ)。(その85)と本結果と比較すると、その類似性に驚きます。
このようなことになるのも、ゼータが美しい対称性をもっているからです。これらは対称性から湧き出てきています。
@〜Fに関し、級数での成立は簡単にわかります(眺めるだけでわかる)。また右辺値(特殊値)での成立も、次のようにすれば容易に確かめられる。
三角関数において次式が成り立つ。
tan(π/2 -2x)=(1/2){tan(π/2 -x)- tan(x)}
xにπ/56, 3π/56, 5π/56, 7π/56, 9π/56,11π/56, 13π/56を代入することで、@〜Fの特殊値での成立を確かめることができます。
以上より、L(1)分解構造のうち『L(1)⇒L(1)7分割の分身』と『L(1)7分割の分身⇒L(1)14分割の分身』の成立が確認できました。
以上。(杉岡幹生)
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