■ゼータの香りの漂う公式の背後にある構造(その93,杉岡幹生)
今回は、L(1)分解構造の中の『L(1)10分割の分身⇒L(1)20分割の分身』が成り立つことを見ます。
L(1)=1/1 -1/3 +1/5 -1/7 +1/9 -1/11 +1/13 -1/15 +1/17 - ・・=π/4
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< L(1)分解構造 >
L(1)⇒L(1)2分割の分身⇒L(1)4分割の分身⇒L(1)8分割の分身⇒L(1)16分割の分身⇒・・・
L(1)⇒L(1)3分割の分身⇒L(1)6分割の分身⇒L(1)12分割の分身⇒L(1)24分割の分身⇒・・・
L(1)⇒L(1)5分割の分身⇒L(1)10分割の分身⇒L(1)20分割の分身⇒L(1)40分割の分身⇒・・・
L(1)⇒L(1)7分割の分身⇒L(1)14分割の分身⇒L(1)28分割の分身⇒L(1)56分割の分身⇒・・・
このように、一つの分身が2つに(倍に)分解する。素数を起点として倍々ゲームで無限に分解(分岐)していく。逆に無限の彼方から見れば、(先頭行を例にとると)・・・・⇒16分身⇒8分身⇒4分身⇒2分身⇒L(1)などとなっている。
厳密には予想ですが、こんなふうになっている。
(注記)
L(1)⇒L(1)4分割の分身⇒L(1)8分割の分身⇒L(1)16分割の分身⇒・・・
L(1)⇒L(1)6分割の分身⇒L(1)12分割の分身⇒L(1)24分割の分身⇒・・・なども当然成り立ちますが、略しました。
理由は、前者は上の全体の様子での1行目に含まれており、後者は2行目に含まれていて、表示する必要がないからです(冗長になるので略)。素数のケースだけ書けば十分です。
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それでは、L(1)の10分割分身が20分割分身に分解する様子を見ます。10分割は(その21)の結果を利用し、20分割はここではじめて示します。
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<10分割は(その21)から抜粋>
■L(1)10分割
B1= 1 -1/39 +1/41 -1/79 +1/81 -1/119 +・・ =(π/40)tan(19π/40)
B2=1/3 -1/37 +1/43 -1/77 +1/83 -1/117 +・・=(π/40)tan(17π/40)
B3=1/5 -1/35 +1/45 -1/75 +1/85 -1/115 +・・=(π/40)tan(15π/40)
B4=1/7 -1/33 +1/47 -1/73 +1/87 -1/113 +・・ =(π/40)tan(13π/40)
B5=1/9 -1/31 +1/49 -1/71 +1/89 -1/111 +・・ =(π/40)tan(11π/40)
B6=1/11 -1/29 +1/51 -1/69 +1/91 -1/109 +・・ =(π/40)tan(9π/40)
B7=1/13 -1/27 +1/53 -1/67 +1/93 -1/107 +・・ =(π/40)tan(7π/40)
B8=1/15 -1/25 +1/55 -1/65 +1/95 -1/105 +・・ =(π/40)tan(5π/40)
B9=1/17 -1/23 +1/57 -1/63 +1/97 -1/103 +・・ =(π/40)tan(3π/40)
B10=1/19 -1/21 +1/59 -1/61 +1/99 -1/101 +・・ =(π/40)tan(π/40)
B1 -B2 +B3 -B4 +B5 -B6 +B7 -B8 +B9 -B10=π/4=L(1) となります。
■L(1)20分割
C1= 1 -1/79 +1/81 -1/159 +1/161 -1/239 + ・・ =(π/80)tan(39π/80)
C2= 1/3 -1/77 +1/83 -1/157 +1/163 -1/237 +・・ =(π/80)tan(37π/80)
C3= 1/5 -1/75 +1/85 -1/155 +1/165 -1/235 +・・ =(π/80)tan(35π/80)
C4= 1/7 -1/73 +1/87 -1/153 +1/167 -1/233 +・・ =(π/80)tan(33π/80)
C5= 1/9 -1/71 +1/89 -1/151 +1/169 -1/231 +・・ =(π/80)tan(31π/80)
C6= 1/11 -1/69 +1/91 -1/149 +1/171 -1/229 +・・ =(π/80)tan(29π/80)
C7= 1/13 -1/67 +1/93 -1/147 +1/173 -1/227 +・・ =(π/80)tan(27π/80)
C8= 1/15 -1/65 +1/95 -1/145 +1/175 -1/225 +・・ =(π/80)tan(25π/80)
C9= 1/17 -1/63 +1/97 -1/143 +1/177 -1/223 +・・ =(π/80)tan(23π/80)
C10=1/19 -1/61 +1/99 -1/141 +1/179 -1/221 +・・ =(π/80)tan(21π/80)
C11=1/21 -1/59 +1/101 -1/139 +1/181 -1/219 +・・ =(π/80)tan(19π/80)
C12=1/23 -1/57 +1/103 -1/137 +1/183 -1/217 +・・ =(π/80)tan(17π/80)
C13=1/25 -1/55 +1/105 -1/135 +1/185 -1/215 +・・ =(π/80)tan(15π/80)
C14=1/27 -1/53 +1/107 -1/133 +1/187 -1/213 +・・ =(π/80)tan(13π/80)
C15=1/29 -1/51 +1/109 -1/131 +1/189 -1/211 +・・ =(π/80)tan(11π/80)
C16=1/31 -1/49 +1/111 -1/129 +1/191 -1/209 +・・ =(π/80)tan(9π/80)
C17=1/33 -1/47 +1/113 -1/127 +1/193 -1/207 +・・ =(π/80)tan(7π/80)
C18=1/35 -1/45 +1/115 -1/125 +1/195 -1/205 +・・ =(π/80)tan(5π/80)
C19=1/37 -1/43 +1/117 -1/123 +1/197 -1/203 +・・ =(π/80)tan(3π/80)
C20=1/39 -1/41 +1/119 -1/121 +1/199 -1/201 +・・ =(π/80)tan(π/80)
C1 -C2 +C3 -C4 +C5 -C6 +C7 -C8 +C9 -C10 +C11 -C12 +C13 -C14 +C15 -C16 +C17 -C18 +C19 -C20=π/4=L(1) となります。
念のため、上記C1〜C20式に対しExcelマクロで数値検証しましたが、左辺の級数は右辺値に収束しました。右辺値和もπ/4に一致しました。これらC1〜C20の導出方法は以下の通り。
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L(1)20分割式の導出過程を簡単に述べます。次の部分分数展開式を使います。
1/(1^2-x^2) +1/(3^2-x^2) +1/(5^2-x^2) +・・ =(π/(4x))tan(πx/2)
xに(2m-1)/40の値を(m=20,19,・・・,2,1の順番で)代入することで、それぞれ分割級数C1〜C20が求まります。
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上記結果より、10分割の分身は、次のようにそれぞれ2個に分裂(分解)して20分割の分身になっています。
B1 =C1 -C20 -----@
B2 =C2 -C19 -----A
B3 =C3 -C18 -----B
B4 =C4 -C17 -----C
B5 =C5 -C16 -----D
B6 =C6 -C15 -----E
B7 =C7 -C14 -----F
B8 =C8 -C13 -----G
B9 =C9 -C12 -----H
B10=C10 -C11 -----I
このように一つの分身が二つに割れていきます。逆の見方をすれば、二つの分身が合わさって上のクラスの一個の分身になる。
その割れ方は(その83)で見たζ(2)「10分割の分身⇒20分割の分身」の割れ方と同じです(違いは、右辺で足すか引くかの違いだけ)。(その83)とζ(2)の結果と比較すると、その類似性に驚きます。ぜひ比べてみてください。
@〜Iに関し、級数での成立は簡単にわかります(眺めるだけでわかる)。また右辺値(特殊値)での成立も、次のようにすれば容易に確かめられる。
三角関数において次式が成り立つ。
tan(π/2 -2x)=(1/2){tan(π/2 -x)- tan(x)}
xにπ/80, 3π/80, 5π/80, 7π/80, 9π/80,11π/80, 13π/80, 15π/80, 17π/80, 19π/80を代入することで、@〜Iの特殊値での成立を確かめることができます。
以上より、L(1)分岐構造全体のうち『L(1)10分割の分身⇒L(1)20分割の分身』の成立が確認できました。
以上。(杉岡幹生)
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