■ゼータの香りの漂う公式の背後にある構造(その92,杉岡幹生)

 今回は、L(1)分解構造の中の『L(1)⇒L(1)5分割の分身』と『L(1)5分割の分身⇒L(1)10分割の分身』の二つの分解を示します。

  L(1)=1/1 -1/3 +1/5 -1/7 +1/9 -1/11 +1/13 -1/15 +1/17 - ・・=π/4

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          < L(1)分解構造 >

 L(1)⇒L(1)2分割の分身⇒L(1)4分割の分身⇒L(1)8分割の分身⇒L(1)16分割の分身⇒・・・

 L(1)⇒L(1)3分割の分身⇒L(1)6分割の分身⇒L(1)12分割の分身⇒L(1)24分割の分身⇒・・・

 L(1)⇒L(1)5分割の分身⇒L(1)10分割の分身⇒L(1)20分割の分身⇒L(1)40分割の分身⇒・・・

 L(1)⇒L(1)7分割の分身⇒L(1)14分割の分身⇒L(1)28分割の分身⇒L(1)56分割の分身⇒・・・

 ・・・・・・・・・・

 このように、一つの分身が2つに(倍に)分解する。素数を起点として倍々ゲームで無限に分解(分岐)していく。逆に無限の彼方から見れば、(先頭行を例にとると)・・・・⇒16分身⇒8分身⇒4分身⇒2分身⇒L(1)などとなっている。

 厳密には予想ですが、こんなふうになっている。

(注記)

 L(1)⇒L(1)4分割の分身⇒L(1)8分割の分身⇒L(1)16分割の分身⇒・・・

 L(1)⇒L(1)6分割の分身⇒L(1)12分割の分身⇒L(1)24分割の分身⇒・・・なども当然成り立ちますが、略しました。理由は、前者は上の全体の様子での1行目に含まれており、後者は2行目に含まれていて、表示する必要がないからです(冗長になるので略)。素数のケースだけ書けば十分です。

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 それでは、1分割分身が5分割分身に、5分割分身が10分割分身に分解する様子を見ます。5分割は(その28)、10分割は(その21)の結果を利用します。

===================================   <5分割は(その28)、10分割は(その21)から抜粋>

■L(1)1分割

  L(1)=1/1 -1/3 +1/5 -1/7 +1/9 -1/11 +1/13 -1/15 +1/17 - ・・=π/4

■L(1)5分割

A1= 1 -1/19 +1/21 -1/39 +1/41 -1/59 +・・ =(π/20)tan(9π/20)

A2=1/3 -1/17 +1/23 -1/37 +1/43 -1/57 +・・=(π/20)tan(7π/20)

A3=1/5 -1/15 +1/25 -1/35 +1/45 -1/55 +・・=(π/20)tan(5π/20)

A4=1/7 -1/13 +1/27 -1/33 +1/47 -1/53 +・・ =(π/20)tan(3π/20)

A5=1/9 -1/11 +1/29 -1/31 +1/49 -1/51 +・・ =(π/20)tan(π/20)

   A1 -A2 +A3 -A4 +A5=π/4=L(1)となります。

■L(1)10分割

B1= 1 -1/39 +1/41 -1/79 +1/81 -1/119 +・・ =(π/40)tan(19π/40)

B2=1/3 -1/37 +1/43 -1/77 +1/83 -1/117 +・・=(π/40)tan(17π/40)

B3=1/5 -1/35 +1/45 -1/75 +1/85 -1/115 +・・=(π/40)tan(15π/40)

B4=1/7 -1/33 +1/47 -1/73 +1/87 -1/113 +・・ =(π/40)tan(13π/40)

B5=1/9 -1/31 +1/49 -1/71 +1/89 -1/111 +・・ =(π/40)tan(11π/40)

B6=1/11 -1/29 +1/51 -1/69 +1/91 -1/109 +・・ =(π/40)tan(9π/40)

B7=1/13 -1/27 +1/53 -1/67 +1/93 -1/107 +・・ =(π/40)tan(7π/40)

B8=1/15 -1/25 +1/55 -1/65 +1/95 -1/105 +・・ =(π/40)tan(5π/40)

B9=1/17 -1/23 +1/57 -1/63 +1/97 -1/103 +・・ =(π/40)tan(3π/40)

B10=1/19 -1/21 +1/59 -1/61 +1/99 -1/101 +・・ =(π/40)tan(π/40)

   B1 -B2 +B3 -B4 +B5 -B6 +B7 -B8 +B9 -B10=π/4=L(1) となります。

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上記結果から、L(1)=A1 -A2 +A3 -A4 +A5となっていて、『L(1)⇒L(1)5分割の分身』がまずわかります。これは(その28)で見たL(1)分割そのものであり当然の結果です。

 次に、5分割の分身は、次のようにそれぞれ2個に分裂(分解)して10分割の分身になっています。

  A1=B1 -B10 -----@

  A2=B2 -B9  -----A

  A3=B3 -B8  -----B

  A4=B4 -B7  -----C

  A5=B5 -B6  -----D

  このように一つの分身が二つに割れるのです。逆の見方をすれば、二つの分身が合わさって上のクラスの一個の分身になる。

 その割れ方は(その82)で見たζ(2)「5分割の分身⇒10分割の分身」の割れ方と同じです(違いは、右辺で足すか引くかの違いだけです)。(その82)のζ(2)「5分割分身⇒10分割分身」と比較すると、その類似性に驚きます。

 このような結果になるのも、ゼータが美しい対称性をもっているからです。これらは対称性から湧き出てきています。

 @〜Dに関し、級数での成立は簡単にわかります(眺めるだけでわかる)。また右辺値(特殊値)での成立も、次のようにすれば容易に確かめられる。

 三角関数において次式が成り立つ。

  tan(π/2 -2x)=(1/2){tan(π/2 -x)- tan(x)}

  xにπ/40, 3π/40, 5π/40, 7π/40, 9π/40を代入することで、@〜Dの特殊値での成立を確かめることができます。

 以上より、L(1)分岐構造全体のうち『L(1)⇒L(1)5分割の分身』と『L(1)5分割の分身⇒L(1)10分割の分身』の成立が確認できました。

以上。(杉岡幹生)

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