■ゼータの香りの漂う公式の背後にある構造(その88,杉岡幹生)

 ここでは、L(1)4分割の分身が8分割の分身に割れる(分解する)様子を観察します。

   L(1)=1/1 -1/3 +1/5 -1/7 +1/9 -1/11 +1/13 -1/15 +1/17 - ・・=π/4

 L(1)が分解していく全体の様子は次のようになっています。1個の分身に着目すると倍の2個に割れる。今回は、その中の『L(1)4分割の分身⇒L(1)8分割の分身』の様子を見ます。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 L(1)⇒L(1)2分割の分身⇒L(1)4分割の分身⇒L(1)8分割の分身⇒L(1)16分割の分身⇒・・・

 L(1)⇒L(1)3分割の分身⇒L(1)6分割の分身⇒L(1)12分割の分身⇒L(1)24分割の分身⇒・・・

 L(1)⇒L(1)5分割の分身⇒L(1)10分割の分身⇒L(1)20分割の分身⇒L(1)40分割の分身⇒・・・

 L(1)⇒L(1)7分割の分身⇒L(1)14分割の分身⇒L(1)28分割の分身⇒L(1)56分割の分身⇒・・・

   ・・・・・・・・・・・・・・

 このように、一つの分身が2つに(倍に)分解する。素数を起点として倍々ゲームで無限に分解(分岐)していく。

逆に無限の彼方から見れば、(先頭行を一例にとると)・・・・⇒16分身⇒8分身⇒4分身⇒2分身⇒L(1)などとなっている。

  

 厳密には予想ですが、こんなふうになっている。

(注記)

 L(1)⇒L(1)4分割の分身⇒L(1)8分割の分身⇒L(1)16分割の分身⇒・・・

 L(1)⇒L(1)6分割の分身⇒L(1)12分割の分身⇒L(1)24分割の分身⇒・・・

なども当然成り立ちますが、略します。理由は、前者は1行目の途中からに含まれており、後者は2行目に含まれていて、これらを表示する必要はないからです(冗長になるので略)。すなわち”素数のケースだけ書けば十分”。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 それでは、『L(1)4分割の分身⇒L(1)8分割の分身』の分解の様子を見ることにします。(その14)での結果を利用します。

===================================

   <(その14)の結果を抜粋>

■L(1)4分割

 B1= 1 -1/15 +1/17 -1/31 +1/33 -1/47 +・・ =(π/16)tan(7π/16)

 B2=1/3 -1/13 +1/19 -1/29 +1/35 -1/45 +・・=(π/16)tan(5π/16)

 B3=1/5 -1/11 +1/21 -1/27 +1/37 -1/43 +・・=(π/16)tan(3π/16)

 B4=1/7 -1/9 +1/23 -1/25 +1/39 -1/41 +・・ =(π/16)tan(π/16)

    B1 -B2 +B3 -B4=π/4=π/4 =L(1)となります。tan()を計算した結果は、以下の通り。

  tan(7π/16)=1 +√2 +√(4+2√2)、tan(5π/16)=-1 +√2 +√(4-2√2)

  tan(3π/16)=1 -√2 +√(4-2√2)、tan(π/16) =-1 -√2 +√(4+2√2)

■L(1)8分割

 C1= 1 -1/31 +1/33 -1/63 +1/65 -1/95 +・・ =(π/32)tan(15π/32)

 C2=1/3 -1/29 +1/35 -1/61 +1/67 -1/93 +・・ =(π/32)tan(13π/32)

 C3=1/5 -1/27 +1/37 -1/59 +1/69 -1/91 +・・ =(π/32)tan(11π/32)

 C4=1/7 -1/25 +1/39 -1/57 +1/71 -1/89 +・・ =(π/32)tan(9π/32)

 C5=1/9 -1/23 +1/41 -1/55 +1/73 -1/87 +・・ =(π/32)tan(7π/32)

 C6=1/11 -1/21 +1/43 -1/53 +1/75 -1/85 +・・=(π/32)tan(5π/32)

 C7=1/13 -1/19 +1/45 -1/51 +1/77 -1/83 +・・=(π/32)tan(3π/32)

 C8=1/15 -1/17 +1/47 -1/49 +1/79 -1/81 +・・=(π/32)tan(π/32)

   tan()を計算した結果は、以下の通り。

  tan(15π/32)= 1 +√2 +√(4+2√2) +√{8+4√2+2√(20+14√2)}

  tan(13π/32)=-1 +√2 +√(4-2√2) +√{8-4√2+2√(20-14√2)}

  tan(11π/32)= 1 -√2 +√(4-2√2) +√{8-4√2-2√(20-14√2)}

  tan(9π/32) =-1 -√2 +√(4+2√2) +√{8+4√2-2√(20+14√2)}

  tan(7π/32) = 1 +√2 -√(4+2√2) +√{8+4√2-2√(20+14√2)}

  tan(5π/32) =-1 +√2 -√(4-2√2) +√{8-4√2-2√(20-14√2)}

  tan(3π/32) = 1 -√2 -√(4-2√2) +√{8-4√2+2√(20-14√2)}

  tan(π/32) =-1 -√2 -√(4+2√2) +√{8+4√2+2√(20+14√2)}

    C1 -C2 +C3 -C4 +C5 -C6 +C7 -C8=π/4=L(1) となります。√はきれいに相殺されて消えます。 綺麗な構造です!

===================================

上記結果から、4分割の分身(B1,B2B3,B4)は、次のようにそれぞれ2個に分裂(分解)して8分割の分身になっていることがわかります。

  B1=C1 -C8

  B2=C2 -C7

  B3=C3 -C6

  B4=C4 -C5

 このように一つの分身が二つに割れる(分解する)のです。その割れ方は(その78)で見たζ(2)の4分割の場合と同じです(違いは右辺で足すか引くかの違いのみ)。綺麗な規則に従って分解していることに注目してください。

 級数での成立は簡単にわかります(眺めればわかる)。

右辺値での成立も(級数の成立から自明ですが)、簡単に確かめられます。上記で三角関数を√の値で示しているので成立を確認してください。右辺値でも成立していますね。

 以上より、L(1)分身の全体の分岐構造のうち『L(1)4分割の分身⇒L(1)8分割の分身』の成立が確認できました。

以上。(杉岡幹生)

===================================