■ゼータの香りの漂う公式の背後にある構造(その85,杉岡幹生)
今回は、下記のζ(2)の分岐構造のうち『7分割の分身たちは、14分割の分身たちに分かれる。』を確かめます。
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ζ(2)は、2分割の分身たちに分かれる。
2分割の分身たちは、4分割の分身たちに分かれる。
4分割の分身たちは、8分割の分身たちに分かれる。
8分割の分身たちは、16分割の分身たちに分かれる。・・・・・・
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あるいは、次のようにもなっている。
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ζ(2)は、3分割の分身たちに分かれる。
3分割の分身たちは、6分割の分身たちに分かれる。
6分割の分身たちは、12分割の分身たちに分かれる。・・・・・・
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あるいは、次のようにもなっている。
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ζ(2)は、5分割の分身たちに分かれる。
5分割の分身たちは、10分割の分身たちに分かれる。
10分割の分身たちは、20分割の分身たちに分かれる。・・・・・
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あるいは、次のようにもなっている。
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ζ(2)は、7分割の分身たちに分かれる。
7分割の分身たちは、14分割の分身たちに分かれる。
14分割の分身たちは、28分割の分身たちに分かれる。・・・・・
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あるいは・・・と、素数を起点として無限に倍々ゲームで分岐していく。逆に無限の彼方から見れば・・⇒32分身⇒16分身⇒8分身⇒4分身⇒2分身⇒ζ(2) などとなっている。
厳密には予想ですが、こんなふうになっています。
(注記)例えば「3分割の分身たちは、6分割の分身たちに分かれる。」は、精密にいうと「ζ(2)3分割の分身たちは、ζ(2)6分割の分身たちに分かれる。」ということです。略して書いているので、注意してください。
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それではまずZ(2)(つまりζ(2))の7分割と14分割の分身たちを示します。7分割の分身たちは前回見たものですが、14分割は本ページではじめて登場するものです。
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Z(2)=1 +1/3^2 +1/5^2 +1/7^2 +1/9^2 +1/11^2 +・・=(3/4)ζ(2)=π^2/8
Z(2)は本質的にζ(2)に等しいものです。
■Z(2)7分割
A1= 1 + 1/27^2 +1/29^2 +1/55^2 + 1/57^2 +1/83^2 +・・・ =(π/28)^2 /{cos(13π/28)}^2
A2=1/3^2 + 1/25^2 +1/31^2 +1/53^2 + 1/59^2 +1/81^2 +・・=(π/28)^2 /{cos(11π/28)}^2
A3=1/5^2 + 1/23^2 +1/33^2 +1/51^2 + 1/61^2 +1/79^2 +・・=(π/28)^2 /{cos(9π/28)}^2
A4=1/7^2 + 1/21^2 +1/35^2 +1/49^2 + 1/63^2 +1/77^2 +・・=(π/28)^2 /{cos(7π/28)}^2
A5=1/9^2 + 1/19^2 +1/37^2 +1/47^2 + 1/65^2 +1/75^2 +・・=(π/28)^2 /{cos(5π/28)}^2
A6=1/11^2 + 1/17^2 +1/39^2 +1/45^2 + 1/67^2 +1/73^2 +・・=(π/28)^2 /{cos(3π/28)}^2
A7=1/13^2 + 1/15^2 +1/41^2 +1/43^2 + 1/69^2 +1/71^2 +・・=(π/28)^2 /{cos(π/28)}^2
A1 +A2 +A3 +A4 +A5+ A6 +A7=Z(2)=π^2/8 となる。
■Z(2)14分割
B1= 1 + 1/55^2 +1/57^2 +1/111^2 + 1/113^2 +1/167^2 + ・・・・ =(π/56)^2 /{cos(27π/56)}^2
B2= 1/3^2 + 1/53^2 +1/59^2 +1/109^2 + 1/115^2 +1/165^2 +・・・ =(π/56)^2 /{cos(25π/56)}^2
B3= 1/5^2 + 1/51^2 +1/61^2 +1/107^2 + 1/117^2 +1/163^2 +・・・ =(π/56)^2 /{cos(23π/56)}^2
B4= 1/7^2 + 1/49^2 +1/63^2 +1/105^2 + 1/119^2 +1/161^2 +・・・ =(π/56)^2 /{cos(21π/56)}^2
B5= 1/9^2 + 1/47^2 +1/65^2 +1/103^2 + 1/121^2 +1/159^2 +・・・ =(π/56)^2 /{cos(19π/56)}^2
B6= 1/11^2 + 1/45^2 +1/67^2 +1/101^2 + 1/123^2 +1/157^2 +・・・ =(π/56)^2 /{cos(17π/56)}^2
B7= 1/13^2 + 1/43^2 +1/69^2 +1/99^2 + 1/125^2 +1/155^2 +・・・ =(π/56)^2 /{cos(15π/56)}^2
B8= 1/15^2 + 1/41^2 +1/71^2 +1/97^2 + 1/127^2 +1/153^2 +・・・ =(π/56)^2 /{cos(13π/56)}^2
B9= 1/17^2 + 1/39^2 +1/73^2 +1/95^2 + 1/129^2 +1/151^2 +・・・ =(π/56)^2 /{cos(11π/56)}^2
B10= 1/19^2 + 1/37^2 +1/75^2 +1/93^2 + 1/131^2 +1/149^2 +・・・ =(π/56)^2 /{cos(9π/56)}^2
B11= 1/21^2 + 1/35^2 +1/77^2 +1/91^2 + 1/133^2 +1/147^2 +・・・ =(π/56)^2 /{cos(7π/56)}^2
B12= 1/23^2 + 1/33^2 +1/79^2 +1/89^2 + 1/135^2 +1/145^2 +・・・ =(π/56)^2 /{cos(5π/56)}^2
B13= 1/25^2 + 1/31^2 +1/81^2 +1/87^2 + 1/137^2 +1/143^2 +・・・ =(π/56)^2 /{cos(3π/56)}^2
B14= 1/27^2 + 1/29^2 +1/83^2 +1/85^2 + 1/139^2 +1/141^2 +・・・ =(π/56)^2 /{cos(π/56)}^2
B1 +B2 +B3 +B4 +B5+ B6 +B7 +B8 +B9 +B10 +B11 +B12+ B13 +B14=Z(2)=π^2/8 となる。
念のためExcelマクロで上記全式の級数が右辺値に収束することを確認しました。この14分割の導出方法は以下の通り。
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14分割の導出過程を簡単に述べます。次のタンジェントの部分分数展開式を微分した式@を利用します。
1/(1^2-x^2) +1/(3^2-x^2) +1/(5^2-x^2) +・・=(π/(4x))tan(πx/2)
上を1回微分すると次式が得られる。
1/(1^2-x^2)^2 +1/(3^2-x^2)^2 +1/(5^2-x^2)^2 +・・=(π/(4x))^2/{cos(πx/2)}^2 + Others(x) -----@
ここで右辺のOthers(x)は、Others(x)=-{π/(8x^3)}tan(πx/2)ですが、無視してよい個所なのでOthers(x)としました。
@式のxに特定の値を代入することで、次のようにZ(2)の14分割の級数(分身たち)が求まります。
@のxに値27/28を代入すると、B1が得られる。
@のxに値25/28を代入すると、B2が得られる。
@のxに値23/28を代入すると、B3が得られる。
@のxに値21/28を代入すると、B4が得られる。
@のxに値19/28を代入すると、B5が得られる。
@のxに値17/28を代入すると、B6が得られる。
@のxに値15/28を代入すると、B7が得られる。
@のxに値13/28を代入すると、B8が得られる。
@のxに値11/28を代入すると、B9が得られる。
@のxに値 9/28を代入すると、B10が得られる。
@のxに値 7/28を代入すると、B11が得られる。
@のxに値 5/28を代入すると、B12が得られる。
@のxに値 3/28を代入すると、B13が得られる。
@のxに値 1/28を代入すると、B14が得られる。
注記:左辺はZ(2)分割級数だけを拾い、右辺はそれに対応する(π/(4x))^2/{cos(πx/2)}^2の値だけを拾います(すなわち、左辺ではZ(2)分割級数以外の級数を無視し、右辺ではOthers(x)の値は無視する。それでOK)。
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上記の結果から「7分割の分身たちは、14分割の分身たちに分かれる」ことが言えるのですが、見てみましょう。
どうなっているかというと、次のようになっています。
A1=B1 +B14 ----@
A2=B2 +B13 ----A
A3=B3 +B12 ----B
A4=B4 +B11 ----C
A5=B5 +B10 ----D
A6=B6 +B9 ----E
A7=B7 +B8 ----F
まさに個々の分身が二つに分かれていることがわかります! 級数での成立は簡単にわかります(眺めればわかる)。
また右辺値での成立も(級数の成立から自明ではありますが)、次のようにすれば容易に確かめられる。
三角関数において次式が成り立つ。
1/{cos(π/2 -2x)}^2 =(1/4)[1/{cos(π/2 -x)}^2 +1/{cos(x)}^2]
このxにπ/56、3π/56、5π/56、7π/56、9π/56、11π/56、13π/56を代入することで、右辺値での@〜Fの成立を確かめることができます。
以上より『7分割の分身たちは、14分割の分身たちに分かれる。』が確認できました。
ζ(2)の分岐構造に関し、これまで確認できたケースをまとめておきます。
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ζ(2)は、2分割の分身たちに分かれる。
2分割の分身たちは、4分割の分身たちに分かれる。
4分割の分身たちは、8分割の分身たちに分かれる。
8分割の分身たちは、16分割の分身たちに分かれる。
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ζ(2)は、3分割の分身たちに分かれる。
3分割の分身たちは、6分割の分身たちに分かれる。
6分割の分身たちは、12分割の分身たちに分かれる。
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ζ(2)は、5分割の分身たちに分かれる。
5分割の分身たちは、10分割の分身たちに分かれる。
10分割の分身たちは、20分割の分身たちに分かれる。
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ζ(2)は、7分割の分身たちに分かれる。
7分割の分身たちは、14分割の分身たちに分かれる。
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以上。(杉岡幹生)
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