■ゼータの香りの漂う公式の背後にある構造(その77,杉岡幹生)

 今回から(その76)で示唆したζ(2)の分岐構造を見ていきます。

 ζ(2)=1/1^2 +1/2^2 +1/3^2 +1/4^2 +・・=π^2/6 ----@

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 オイラーの発見したこの式はきれいですが、この式は、じつは分身たちが緻密に織りあげてきた最終到達地点とわかりました。単発的な@の裏側に深い美しい構造が隠されていたのです。

 ゼータの分身たちが二つに無限に枝分かれしていく様子は圧巻です。それを逆方向から眺めれば、無限の彼方から綺麗な織物が織りあがってきて最終的にζ(2)=π^2/6に終着する。

 具体的には、次のようになっています。

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 ζ(2)は、2分割の分身たちに分かれる。

 2分割の分身たちは、4分割の分身たちに分かれる。

 4分割の分身たちは、8分割の分身たちに分かれる。

 8分割の分身たちは、16分割の分身たちに分かれる。  ・・・・・

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 あるいは、次のようにもなっている。

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 ζ(2)は、3分割の分身たちに分かれる。

 3分割の分身たちは、6分割の分身たちに分かれる。

 6分割の分身たちは、12分割の分身たちに分かれる。  ・・・・・

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 あるいは、次のようにもなっている。

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 ζ(2)は、5分割の分身たちに分かれる。

 5分割の分身たちは、10分割の分身たちに分かれる。

 10分割の分身たちは、20分割の分身たちに分かれる。  ・・・・・

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 あるいは・・と、素数を起点として、無限に倍々ゲームで分岐していく。逆に無限の彼方から見れば、・・⇒16分身⇒8分身⇒4分身⇒2分身⇒ζ(2)などとなっている。

 厳密には予想ですが、こんなふうになっているようです。

では、今回は1分割、2分割の分身たちの分岐構造を具体的に見ることにします。準備としてまず(その15)での結果を再掲します。

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<(その15)での結果を再掲(一部修正)>

  Z(2)=1 +1/3^2 +1/5^2 +1/7^2 +1/9^2 +1/11^2 +・・=π^2/8

 Z(2)は本質的にζ(2)に等しい。なぜなら次のように変形でき、Z(2)はζ(2)=π^2/6そのものだからです。

 Z(2)=1 +1/3^2 +1/5^2 +1/7^2 +1/9^2 +1/11^2 +・・

   =1 +1/2^2 +1/3^2 +1/4^2 + 1/5^2 +1/6^2 +1/7^2・・ - (1/2^2 +1/4^2 +1/6^2 + ・・)

   =ζ(2) - 1/2^2ζ(2)

   =(3/4)ζ(2)

   =π^2/8

■Z(2)1分割

 Z(2)=1 +1/3^2 +1/5^2 +1/7^2 +1/9^2 +1/11^2 +・・=(π/4)^2 /{cos(π/4)}^2 =π^2/8

■Z(2)2分割

A1= 1 + 1/7^2 +1/9^2 +1/15^2 + 1/17^2 +1/23^2 +・・=(π/8)^2 /{cos(3π/8)}^2

A2=1/3^2 +1/5^2 +1/11^2 +1/13^2 + 1/19^2 +1/21^2 +・・=(π/8)^2 /{cos(π/8)}^2

  A1 +A2=Z(2)=π^2/8 となる。

 1/{cos()}^2の部分を計算した結果は、次の通り。

  1/{cos(3π/8)}^2= 4 +2√2

  1/{cos(π/8)}^2 = 4 -2√2

■Z(2)4分割

B1= 1 +1/15^2 +1/17^2 +1/31^2 +1/33^2 +1/47^2 +・・=(π/16)^2 /{cos(7π/16)}^2

B2=1/3^2 +1/13^2 +1/19^2 +1/29^2 +1/35^2 +1/45^2 +・・=(π/16)^2 /{cos(5π/16)}^2

B3=1/5^2 +1/11^2 +1/21^2 +1/27^2 +1/37^2 +1/43^2 +・・=(π/16)^2 /{cos(3π/16)}^2

B4=1/7^2 +1/9^2 +1/23^2 +1/25^2 +1/39^2 +1/41^2 +・・=(π/16)^2 /{cos(π/16)}^2

  B1 +B2 +B3 +B4 =Z(2)=π^2/8 となる。

 1/{cos()}^2の部分を計算した結果は、次の通り。

 1/{cos(7π/16)}^2= 8 +4√2 + 4√(2+√2) +2√(4+2√2)

 1/{cos(5π/16)}^2= 8 -4√2 + 4√(2-√2) -2√(4-2√2)

  1/{cos(3π/16)}^2= 8 -4√2 - 4√(2-√2) +2√(4-2√2)

  1/{cos(π/16)}^2 = 8 +4√2 - 4√(2+√2) -2√(4+2√2)

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 上記の結果から、Z(2)=A1 +A2 であり「ζ(2)は、2分割の分身たちに分かれる。」がまずわかります。(これは、これまでZ(2)分割で見てきたもので当たり前ですが)

 次に、

  A1=B1 +B4

 A2=B2 +B3

となっていることにお気づきでしょうか。級数での成立は簡単にわかります(眺めればわかる)。また右辺値も割合簡単に確かめられます。上記で三角関数を√の値でも示しているので成立を確認してください。右辺値でも成立しています。

 よって「2分割の分身たちは、4分割の分身たちに分かれる。」となっていることがわかりました。

 以上より、今回は、冒頭で述べた分身の分岐構造のうち

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 ζ(2)は、2分割の分身たちに分かれる。

 2分割の分身たちは、4分割の分身たちに分かれる。

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までが確かめられました。

 次回は次を確かめたいと思います。

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 4分割の分身たちは、8分割の分身たちに分かれる。

 8分割の分身たちは、16分割の分身たちに分かれる。

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以上。(杉岡幹生)

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