■ゼータの香りの漂う公式の背後にある構造(その74,杉岡幹生)
今回は虚2次体Q(√-5)ゼータLC(s)のLC(1)の8分割を示します。
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LC(s)はディリクレのL関数L(χ,s)
L(χ,s)=χ(1)/1^s +χ(2)/2^s +χ(3)/3^s +χ(4)/4^s +χ(5)/5^s +χ(6)/6^s +χ(7)/7^s +・・
の一種であり、次のものです。
LC(s)=1 +1/3^s +1/7^s +1/9^s -/11^s -1/13^s -1/17^s -1/19^s +・・
LC(s)は虚2次体Q(√-5)のゼータ関数で、導手N=20を持つ。
ディリクレ指標χ(n)は、n≡1 or 3 or 7 or 9 mod 20のときχ(n)=1, n≡11 or 13 or 17 or 19 mod 20のときχ(n)=-1, その他のときχ(n)=0となる。
LC(1)は次の通りです。
LC(1)=1 +1/3 +1/7 +1/9 -/11 -1/13 -1/17 -1/19 +1/21 +1/23 +1/27 +1/29 -/31 -1/33 -1/37 -1/39 +・・・=π/√5 ------@
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それでは、LC(1)の8分割を示します。※を無視した残りの8つで8分割となります。次のようにL(1)10分割を利用しているため、あえて※を残しました。
■LC(1)8分割
B1= 1 -1/39 +1/41 -1/79 +1/81 -1/119 +・・ =(π/40)tan(19π/40)
B2=1/3 -1/37 +1/43 -1/77 +1/83 -1/117 +・・=(π/40)tan(17π/40)
※B3=1/5 -1/35 +1/45 -1/75 +1/85 -1/115 +・・=(π/40)tan(15π/40) ⇒無視
B4=1/7 -1/33 +1/47 -1/73 +1/87 -1/113 +・・ =(π/40)tan(13π/40)
B5=1/9 -1/31 +1/49 -1/71 +1/89 -1/111 +・・ =(π/40)tan(11π/40)
B6=1/11 -1/29 +1/51 -1/69 +1/91 -1/109 +・・ =(π/40)tan(9π/40)
B7=1/13 -1/27 +1/53 -1/67 +1/93 -1/107 +・・ =(π/40)tan(7π/40)
※B8=1/15 -1/25 +1/55 -1/65 +1/95 -1/105 +・・ =(π/40)tan(5π/40) ⇒無視
B9=1/17 -1/23 +1/57 -1/63 +1/97 -1/103 +・・ =(π/40)tan(3π/40)
B10=1/19 -1/21 +1/59 -1/61 +1/99 -1/101 +・・ =(π/40)tan(π/40)
B1 +B2 +B4 +B5 -B6 -B7 -B9 -B10=LC(1) となります。上記全式に対しExcelマクロで数値検証しましたが、全て左辺の級数は右辺値に一致しました。
上記B1〜B10はL(1)10分割の分身たちであり、B1 -B2 +B3 -B4 +B5 -B6 +B7 -B8 +B9 -B10=L(1)となります。きれいな秩序から成り立っています。
L(1)10分割は既に(その21)で見ました。
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上の分割級数の導出過程を簡単に述べます。次のタンジェントの部分分数展開式を使います。
1/(1^2-x^2) +1/(3^2-x^2) +1/(5^2-x^2) +・・ =(π/(4x))tan(πx/2)
このxに次の値を代入することで、分割された級数とその値が求まります。
xに19/20を代入すると、B1が得られる。
xに17/20を代入すると、B2が得られる。
xに15/20を代入すると、B3が得られる。 ⇒ 無視。15/20=3/4代入であり、L(1)2分割の分身と一致
xに13/20を代入すると、B4が得られる。
xに11/20を代入すると、B5が得られる。
xに 9/20を代入すると、B6が得られる。
xに 7/20を代入すると、B7が得られる。
xに 5/20を代入すると、B8が得られる。 ⇒無視。5/20=1/4代入であり、L(1)2分割の分身と一致
xに 3/20を代入すると、B9が得られる。
xに 1/20を代入すると、B10が得られる。
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このようにしてLC(1)の8分割が求まりました。上で言及したようにLC(1)の分身たちは、L(1)10分割の分身たちの内の8つと同じです。
LC(1)は、L(1)のパーツB1〜B10のうちB1,B2,B4,B5,B6,B7,B9,B10から作られている。まとめて書くと、次のようになります。
L(1)= B1 -B2 +B3 -B4 +B5 -B6 +B7 -B8 +B9 -B10
LC(1)=B1 +B2 +B4 +B5 -B6 -B7 -B9 -B10
このようにLC(1)の分身たちは、L(1)の分身たち(の一部)から成っていることがわかりました。
さらに@よりLC(1)=π/√5 ですから、LC(1)の分身たちの特殊値のtan()に着目すると、次式が成り立ちます。
(π/40){tan(19π/40) +tan(17π/40) +tan(13π/40) +tan(11π/40) -tan(9π/40) -tan(7π/40) -tan(3π/40) -tan(π/40)}=π/√5
tan()につく+,−とtan()の()内の分子に注目すれば、その一連の並びが冒頭の虚2次体Q(√-5)のディリクレ指標χ(n)に(+、-が逆転した形で)従っていることにも着目してください。
これまでの結果を更新しておきます。
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ζ(s) リーマンゼータ、導手N=1 ⇒ n分割可能である。
L(s) 虚2次体Q(√-1)ゼータ、導手N=4 ⇒ n分割可能である。
LA(s) 虚2次体Q(√-3)ゼータ、導手N=3 ⇒ 1〜10分割可能である。n分割可能と考えられる(予想)。
LN(s) 実2次体Q(√5)ゼータ、 導手N=5 ⇒ 2/4/6/8/10/12分割が可能である。2n分割可能と考えられる(予想)。2n分割が最良か(問題)。
LP(s) 虚2次体Q(√-7)ゼータ、導手N=7 ⇒ 3/6/9/12分割可能である。3n分割可能と考えられる(予想)。3n分割が最良か(問題)。
L2(s) 虚2次体Q(√-2)ゼータ、導手N=8 ⇒ 2/4/6/8/10/12分割可能である。2n分割可能と考えられる(予想)。2n分割が最良か(問題)。
L1(s) 実2次体Q(√2)ゼータ、 導手N=8 ⇒ 2/4/6/8/10/12分割可能である。2n分割可能と考えられる(予想)。2n分割が最良か(問題)。
LE(s) 虚2次体Q(√-6)ゼータ、導手N=24 ⇒ 4/8/12分割可能である。4n分割可能と考えられる(予想)。4n分割が最良か(問題)。
LC(s) 虚2次体Q(√-5)ゼータ、導手N=20 ⇒ 4/8分割可能である。
注記:nは1以上の整数 以上。(杉岡幹生)
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