■ゼータの香りの漂う公式の背後にある構造(その70,杉岡幹生)
<ゼータ分割に関する種々の予想 ver 2.7>
(その62)での「ゼータ分割の種々の予想」を改訂したので、以下示します(ver2.5⇒ver 2.7)。
< つぶやき、結果 >に私の独断と偏見の意見や、結果を書きました。KONO氏が新種のL(1)2分割を発見されました。
[改訂履歴(ver2.5⇒ver2.7)]
●『[2](3)分身たち(分割級数)でリーマン予想は成り立つか。』は不成立とわかったので削除。
●『[8]ゼータの分割は、一意に実現されることを証明せよ。』は間違いだったので削除。例えば、L(1)2分割の場合、次のように一意ではないことは明らか。例えばL(1)3分割のA1,A2,A3を使って、A1-A2とA3でL(1)2分割が構成できる。このような組み合わせで別種の2分割を構成できる。よって一意でない。他の分割でも同様。
この結果に付随して『[3] 代数方程式との関係』も削除。[3]以降の番号を繰り上げ。
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[1]ゼータの分割は、ζ(s)を含むL(χ,s)の1次のゼータのみならず、2次以上のn次ゼータでも実現されるのではないか。
例えば、2次の保型形式ゼータ(楕円曲線ゼータ)も分割できるのではなかろうか。
[2] 関数等式など
(1)それぞれの分身たちに対し、関数等式は存在するか。
(2)テイラーシステム(12年前開発)を使って、分身たち(分割級数)の特殊値を導出せよ。
[3] 非明示特殊値での分割
非明示の特殊値をもつζ(3)、ζ(5)、ζ(7)・・やL(2)、L(4)、L(6)・・・を分割せよ。非明示のL(χ,s)も行うこと。
[4]岩澤理論、クンマーの理論、イデアル類群との関連
(1)例えば、ζ(12)の特殊値”691π^2/638512875”について、分子に突然691という素数が出現する理由をクンマーの理論や岩澤理論とは別視点から説明せよ。
ζ(12)分割級数の生成核関数を使えば、691が出現する理由がわかるのではないか。
(2)類数(イデアル類群の位数)と分割級数(ゼータの分身たち)を結びつけよ。
例えば(その56)で見た「虚2次体Q(√-2)ゼータL2(1)の分身たち」と「虚2次体Q(√-2)の類数h」との次の興味深い関係式をさらに深めよ(一般化せよ)。
■虚2次体Q(√-2)の類数h(h=1)とL2(1)6分割と8分割との間に成り立つ関係式。
[6分割の場合]
h=(1/(6√2)){tan(11π/24) +tan(9π/24) -tan(7π/24) -tan(5π/24) +tan(3π/24) +tan(π/24)}
[8分割の場合]
h=(1/(8√2)){tan(15π/32) +tan(13π/32) -tan(11π/32) -tan(9π/32) +tan(7π/32) +tan(5π/32) -tan(3π/32) -tan(π/32)}
右辺を計算すると、どちらもh=1となる。
すなわち、ここでのテーマは、
2次体の類数(代数的な量)=L(χ,s)ゼータの値(解析的な量)
という関係性を、類数公式や岩澤理論とは違う方向から別種の形で打ち立てよ、ということ。
[5](その18)〜(その20)で提示した次の予想は解けないか? 「分子係数和=分母係数予想」と名付ける。
<分子係数和=分母係数予想>
『ζ(2n)、L(2n-1)を分割した結果に関し、分子のsin式におけるsin項の係数の和(定数項も含む)と、分母cosにかかる係数は一致するだろう。nは1以上の整数。』
例えば、(その20)で見たZ(10)2分割の分身の一つA1では、次のように成り立つ。(当然分身A2でも成立⇒(その20))
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Z(10)のA1の値は次の通り。
A1=α^10 {62+1072(sβ)^2+1452(sβ)^4+247(sβ)^6+2(sβ)^8}/{2835(cβ)^10}
分子のsin係数の和=62+1072+1452+247+2=2835、 分母のcos係数=2835
よって、予想は成り立っている。
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注記1:α=π/8, β=3π/8であり、sinは”s”, cosは”c”と略記している。
注記2:Z(10)=1 +1/3^10 +1/5^10 +1/7^10 +1/9^10 +・・=(1-1/2^10)ζ(10)であり、Z(10)はζ(10)と本質的に同じである。
[6](その25)〜(その26)で提示した「奇数出現位置予想」は解けないか。
<奇数出現位置予想>
『分割されたζ(m)やL(m)の分身たちの特殊値の分子において、奇数は一度だけ出現する。さらに次の関係を満たすサイン位置pに奇数が出現する。奇数が掛かるサインsinの指数の値をpとすると、
m + p=2^n
ただし、分母と分子は最大限約分されているとする。ここでmは、ζ(m)では2以上の偶数、L(m)では1以上の奇数。nは1以上の整数。』
例えば、Z(10)2分割の分身A1では、次のように成り立っている。(当然分身A2でも成立⇒(その20))
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A1= α^10 {62+1072(sβ)^2+1452(sβ)^4+247(sβ)^6+2(sβ)^8}/{2835(cβ)^10}
Z(10)を見ているので、m=10である。分子には247という奇数が一度だけ出現している。247が掛かるサインsβは(sβ)^6であるからp=6である。
10 + 6=2^4
よって、予想は成り立っている。
注記:α=π/8, β=3π/8であり、sinは”s”, cosは”c”と略記。
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注記:Z(10)=1 +1/3^10 +1/5^10 +1/7^10 +1/9^10 +・・=(1-1/2^10)ζ(10)であり、Z(10)はζ(10)と本質的に同じである。
[7] ゼータ関数は何分割可能かを分類せよ。現時点まででわかった結果は以下の通り。
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ζ(s) リーマンゼータ、導手N=1 ⇒ n分割可能である。
L(s) 虚2次体Q(√-1)ゼータ、導手N=4 ⇒ n分割可能である。
LA(s) 虚2次体Q(√-3)ゼータ、導手N=3 ⇒ 1〜10分割可能である。n分割可能と考えられる(予想)。
LN(s) 実2次体Q(√5)ゼータ、 導手N=5 ⇒ 2/4/6/8/10/12分割が可能である。2n分割可能と考えられる(予想)。2n分割が最良か(問題)。
LP(s) 虚2次体Q(√-7)ゼータ、導手N=7 ⇒ 3/6/9/12分割可能である。3n分割可能と考えられる(予想)。3n分割が最良か(問題)。
L2(s) 虚2次体Q(√-2)ゼータ、導手N=8 ⇒ 2/4/6/8/10/12分割可能である。2n分割可能と考えられる(予想)。2n分割が最良か(問題)。
L1(s) 実2次体Q(√2)ゼータ、 導手N=8 ⇒ 2/4/6/8/10/12分割可能である。2n分割可能と考えられる(予想)。2n分割が最良か(問題)。
LE(s) 虚2次体Q(√-6)ゼータ、導手N=24 ⇒ 4/8/12分割可能である。4n分割可能と考えられる(予想)。4n分割が最良か(問題)。
LB(s) 実2次体Q(√3)ゼータ、導手N=12 ⇒ 4分割可能である。
注記:nは1以上の整数
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< つぶやき、結果 >
[1] これは壮大なテーマである。2次のゼータでも現代数学ではわからないことだらけ。一般のn次ゼータの分割など夢のまた夢。
[2](1)テイラーシステムですこし計算したところ、分割ゼータ(分割級数)の関数等式は存在するような気がする。
注記:テイラーシステムは、ζ(s)やL(s)の”任意の実数点”の特殊値が簡単に導出できる超強力マシーン。
(2)分割ゼータの関数等式がわかればできるんだろうが、むずかしい。いったん休止。
[3] 非明示L(2)の2分割に成功!!(その48)で報告。しかし明示的な場合と違って、非明示は計算が非常にたいへん。だからまだこの一つだけ。
[4]
(1)ゼータの分割は、ある意味で岩澤理論とは別方向からゼータ特殊値のふしぎを解明する理論であると思う。
(2)円分体やイデアル類群とゼータの分身たちは関係しているはず。その関係をつかみたい。
[5]と[6]はどっちが難しいか? 独断と偏見で[6]の方が難しい。
[7]ちょっとずつ進展。「2n分割可能」とか「3n分割可能」とかのゼータも出てきた。この分野は巨大すぎて私だけやっていても進みが遅く・・ 多くの人の参加を期待します。
KONO氏が、新種のL(1)2分割を発見された。
B1=1 -1/3 +1/9 -1/11 +・・=π/8 -(√2/4)ln(√2-1)
B2=1/5 -1/7 +1/13 -1/15 +・・= π/8 +(√2/4)ln(√2-1)
B1 +B2=L(1)=π/4である。面白い結果である!! 次の結果と比較されたし
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■L(1)2分割
A1= 1 - 1/7 +1/9 -1/15 + 1/17 -1/23 +・・ = (π/8)tan(3π/8)
A2=1/3 -1/5 +1/11 -1/13 + 1/19 -1/21 +・・= (π/8)tan(π/8)
A1 -A2=L(1)=π/4 である。tan()は次の通り⇒ tan(3π/8)=1 +√2、tan(π/8)= -1 +√2
(ゼータの香りの漂う公式の背後にある構造 その14)から。http://www.geocities.jp/ikuro_kotaro/koramu2/12043_z2.htm
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以上。(杉岡幹生)
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