■巖頭の感

 本コラムの中心テーマは「高次元幾何学」である.たとえば「コクセター選集」を読むと,基本的なことですら部分的にしかわかっていないことに気づくだろう.コクセターは最初のうちは幾何学的に,のちに群論的にアプローチした.しかし,この先人は組み合わせ論的な視点を欠いているようにみえる.

 小生の組み合わせ幾何学的な計算は間違いも多く,「直観的」と思われるかもしれないが,そのような試行錯誤の中から正しい方向を検知してきた.現在,先人の未解決問題はほとんどわかったといってもよい域に達している.

 しかしながら,プロの数学者の前でそれらを発表したとしても,理解される可能性は極めて低い.「高次元幾何学」はまったく受けない分野なのである.

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 本コラムが始まった頃はある程度まとまった記事を書くというスタイルであったが,仕事内容の変化に伴い,30分以内に書き上げるということを余儀なくされた.そのためか,本コラムは話題が多彩で,数学の広さ・多様性に驚かされたということをいわれたことがあるが,すべて「高次元幾何学」の未解決問題を解くために,頭脳の体力を維持する必要から「トレーニング」として行ってきたことである.すなわち「自分のために」やっていることなのであるが,それが他者にとっても刺激になっているのであれば幸甚である.

 ところで,geocities.jp は近々サービス終了とのことで,サイトはどこかに移転されるのでしょうかという質問をこれまで何回か受けた.いまのところ,閉鎖予定であるが,これだけ毎日書いてきたものが消えてしまうのは本人としてももったいないような気もするし,寂しくもある.一方で,価値の高いコラムとしてあり続けることは難しく,継続・継承の難しさというのが年頭の崖っぷちにおける感想である.

 どうぞ良いお年をお迎えくださいませ.

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