■メルテンスの定理(その2)

 φ(m)は,mと互いに素であり,mより小さい整数r,1≦r<mの個数として定義される.すなわち,φ(m)は1からm−1までの整数のうち,mと公約数をもたない数はいくつあるかを数えた数を表す.

 m=9→1,2,4,5,7,8→φ(9)=6

 m=10→1,3,7,9→φ(10)=4

 φ(1)=1,φ(2)=1,φ(3)=2,φ(4)=2

 φ(5)=4,φ(6)=2,φ(7)=6,φ(8)=4

 φ(9)=6,φ(10)=4,

 φ(p)=p−1

 φ(p^a)=(p−1)p^(a-1)=p^a(1−1/p)

 φ(m)=mΠ(1−1/pi)

 φ(10)=10(1−1/2)(1−1/5)=4

 φ(26)=26(1−1/2)(1−1/13)=12

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 φ(m)はかなり変動する関数である.たとえば,

  φ(29)=28,φ(30)=8,φ(31)=30,φ(32)=16

 しかし,φ(m)の漸近的性質を考えると,オイラーのトーション関数は,無作為に選んだ2数が公約数をもたない確率などに関係していて

  φ(m)/mの平均値は6/π^2〜0.61に近づく.

これは無作為にとった整数が,2乗の因数をもたない確率でもある.

  φ(m)の平均/m〜(Σ1/m^2)^-1〜6/π^2

  1/n・Σφ(k)/k〜6/π^2

  1/n^2・Σφ(k)〜3/π^2

 同じことではあるが,Φ(n)=Σφ(k)とおくと

  3/π^2=limΦ(n)/n^2

 また,コラム「学会にて(京大数理解析研,その1)」では

 位数nのファレイ数列の長さは,オイラー関数φ(n)を用いて,

  1+φ(1)+φ(2)+・・・+φ(n−1)+φ(n)

 〜3(n/π)^2〜0.30396n^2

になる.この近似はnが大きくなるにつれてよくなっていく.

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