■ゼータの香りの漂う公式の背後にある構造(その58,杉岡幹生)
(その57)の続きで、Q(√-2)ゼータL2(1)の12割を調べます。
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L2(1)=1 +1/3 -1/5 -1/7 +1/9 +1/11 -/13 -1/15 +1/17 +1/19 -1/21 -1/23 +・・ ------@
L2(s)はL(χ,s)の一種の虚2次体Q(√-2)のゼータ関数で、導手N=8を持つ。次のL(χ,s)のs=1の場合がL2(1)です。
L(χ,s)=χ(1)/1^s +χ(2)/2^s +χ(3)/3^s +χ(4)/4^s +χ(5)/5^s +χ(6)/6^s +・・・におけるL2(s)のディリクレ指標χ(n)は次の通り。
n≡1 or 3 mod 8のときχ(n)=1, n≡5 or 7 mod 8のときχ(n)=-1, その他のときχ(n)=0となる。
L2(1)の値は(その55)で示した通り、π√2/4です。
L2(1)=1 +1/3 -1/5 -1/7 +1/9 +1/11 -/13 -1/15 +1/17 +1/19 -1/21 -1/23 +・・=π√2/4 -----A
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L2(1)の12分割を示します。以下の通りです。
■L2(1)12分割
A1 = 1 -1/47 +1/49 -1/95 +1/97 -1/143 +・・ =(π/48)tan(23π/48)
A2 =1/3 -1/45 +1/51 -1/93 +1/99 -1/141 +・・ =(π/48)tan(21π/48)
A3 =1/5 -1/43 +1/53 -1/91 +1/101 -1/139 +・・ =(π/48)tan(19π/48)
A4 =1/7 -1/41 +1/55 -1/89 +1/103 -1/137 +・・ =(π/48)tan(17π/48)
A5 =1/9 -1/39 +1/57 -1/87 +1/105 -1/135 +・・ =(π/48)tan(15π/48)
A6 =1/11 -1/37 +1/59 -1/85 +1/107 -1/133 +・・ =(π/48)tan(13π/48)
A7 =1/13 -1/35 +1/61 -1/83 +1/109 -1/131 +・・ =(π/48)tan(11π/48)
A8 =1/15 -1/33 +1/63 -1/81 +1/111 -1/129 +・・ =(π/48)tan(9π/48)
A9 =1/17 -1/31 +1/65 -1/79 +1/113 -1/127 +・・ =(π/48)tan(7π/48)
A10=1/19 -1/29 +1/67 -1/77 +1/115 -1/125 +・・ =(π/48)tan(5π/48)
A11=1/21 -1/27 +1/69 -1/75 +1/117 -1/123 +・・ =(π/48)tan(3π/48)
A12=1/23 -1/25 +1/71 -1/73 +1/119 -1/121 +・・ =(π/48)tan(π/48)
A1 +A2 -A3 -A4 +A5 +A6 -A7 -A8 +A9 +A10 -A11 -A12=L2(1) であることを確認ください。これら12式に対しExcelマクロで数値検証も行ないましたが、全て左辺の級数は右辺値に一致しました。
また右辺値の和”A1 +A2 -A3 -A4 +A5 +A6 -A7 -A8 +A9 +A10 -A11 -A12”は、Aのπ√2/4 に一致することも確認しました。
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上の分割級数の導出過程を簡単に述べます。次のタンジェントの部分分数展開式を使います。
1/(1^2-x^2) +1/(3^2-x^2) +1/(5^2-x^2) +・・ =(π/(4x))tan(πx/2)
xに次の値を代入することで、分割された級数とその値が求まります。
xに23/24を代入すると、A1が得られる。
xに21/24を代入すると、A2が得られる。
xに19/24を代入すると、A3が得られる。
xに17/24を代入すると、A4が得られる。
xに15/24を代入すると、A5が得られる。
xに13/24を代入すると、A6が得られる。
xに11/24を代入すると、A7が得られる。
xに 9/24を代入すると、A8が得られる。
xに 7/24を代入すると、A9が得られる。
xに 5/24を代入すると、A10が得られる。
xに 3/24を代入すると、A11が得られる。
xに 1/24を代入すると、A12が得られる。
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このようにL2(1)の12分割が求まりました。
ここでも「L2(1)は、L(1)と同じパーツから作られている」という事実を確認しておきましょう。
L2(1)の上記12式(A1〜A12)はじつは(その22)のL(1)12分割の式と同じです。(その22)を下記<付録>に抜粋したので見てくだい。それらはL2(1)12分割の式と同であることがわかります。
L(1)とL2(1)は、基本パーツ(A1, A2, ・・,A12)によって次のように構成されています。
L(1) =A1 -A2 +A3 -A4 +A5 -A6 +A7 -A8 +A9 -A10 +A11 -A12
L2(1)=A1 +A2 -A3 -A4 +A5 +A6 -A7 -A8 +A9 +A10 -A11 -A12
このように全く同じ部品から構成されています。違いは加減算の仕方だけです。面白いですね。
これまで見てきた結果の表を下記のように更新しました。L2(s)で「2/4/6/8/10/12分割可能である。2n分割可能と考えられる(予想)。2n分割が最良か(問題)」としています。
虚2次体Q(√−2)ゼータのL2(1)は、これで終了とします。次は、実2次体Q(√√2)ゼータを調べていくことにします。
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リーマンゼータζ(s)、導手N=1 ⇒ n分割可能である。
L(s) 虚2次体Q(√-1)ゼータ、導手N=4 ⇒ n分割可能である。
LA(s) 虚2次体Q(√-3)ゼータ、導手N=3 ⇒ 1〜10分割可能である。n分割可能と考えられる(予想)。
LN(s) 実2次体Q(√5)ゼータ、 導手N=5 ⇒ 2/4/6/8/10/12分割が可能である。2n分割可能と考えられる(予想)。2n分割が最良か(問題)。
LP(s) 虚2次体Q(√-7)ゼータ、導手N=7 ⇒ 3/6/9/12分割可能である。3n分割可能と考えられる(予想)。3n分割が最良か(問題)。
L2(s) 虚2次体Q(√-2)ゼータ、導手N=8 ⇒ 2/4/6/8/10/12分割可能である。2n分割可能と考えられる(予想)。2n分割が最良か(問題)。
注記:nは1以上の整数 以上。(杉岡幹生)
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<付録>
(ゼータの香りの漂う公式の背後にある構造ゼータの香りの漂う公式の「その22」より抜粋)
L(1)=1 -1/3 +1/5 -1/7 +1/9 -1/11 +1/13 -15 + ・・=π/4
■L(1)12分割
A1= 1 -1/47 +1/49 -1/95 +1/97 -1/143 +・・ =(π/48)tan(23π/48)
A2=1/3 -1/45 +1/51 -1/93 +1/99 -1/141 +・・=(π/48)tan(21π/48)
A3=1/5 -1/43 +1/53 -1/91 +1/101 -1/139 +・・=(π/48)tan(19π/48)
A4=1/7 -1/41 +1/55 -1/89 +1/103 -1/137 +・・ =(π/48)tan(17π/48)
A5=1/9 -1/39 +1/57 -1/87 +1/105 -1/135 +・・ =(π/48)tan(15π/48)
A6=1/11 -1/37 +1/59 -1/85 +1/107 -1/133 +・・ =(π/48)tan(13π/48)
A7=1/13 -1/35 +1/61 -1/83 +1/109 -1/131 +・・ =(π/48)tan(11π/48)
A8=1/15 -1/33 +1/63 -1/81 +1/111 -1/129 +・・ =(π/48)tan(9π/48)
A9=1/17 -1/31 +1/65 -1/79 +1/113 -1/127 +・・ =(π/48)tan(7π/48)
A10=1/19 -1/29 +1/67 -1/77 +1/115 -1/125 +・・ =(π/48)tan(5π/48)
A11=1/21 -1/27 +1/69 -1/75 +1/117 -1/123 +・・ =(π/48)tan(3π/48)
A12=1/23 -1/25 +1/71 -1/73 +1/119 -1/121 +・・ =(π/48)tan(π/48)
A1 -A2 +A3 -A4 +A5 -A6 +A7 -A8 +A9 -A10 +A11 -A12=L(1) であることを確認ください。
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