■学会にて(形の科学会・その1)

 先週,千葉大学で開催された形の科学会にて,「カブトムシの角と折りたたみ可能な三角柱」について発表.たとえば,折りたたみ可能な構造物としてはミウラ折りがあげられる.

===================================

【1】ミウラ折りと宇宙工学

 宇宙構造物の設計者,三浦公亮先生は不思議な開閉をする折りたたみ式構造物を考え出された.その学術的名称は可展二重波形面(DDC surface),通称ミウラ折りであって,対称な4つの平行四辺形が結合したユニットの繰り返しからなる二重波形構造である.それはいたるところガウス曲率が0の展開可能面であって,折り紙でモデルを作ることができるのはそのためである.ミウラ折りは人工衛星の展開式太陽電池パネルなどに応用された.

 また,薄い材料でできた円柱,たとえば,缶ビールの空き缶を立てておいて軸に沿って均等に力をかけるとダイヤモンドパターンが現れる.このパターンは吉村慶丸先生にちなんで吉村パターンと呼ばれている.製造時に吉村パターンを実現させることによって,強度を保ちながら材料を約30%も減らしたキラキラ光るチューハイ缶が市販されているからご存じの方も多かろう.実はこれももともと宇宙工学で考え出された頑丈な形であって,疑似円筒凹多面体(PCCP)すなわちアンチプリズムを重ねた疑似円筒形で,そのガウス曲率もいたるところ0になっている.

===================================