■中心極限定理と重複対数の法則(その2)
【1】2次の無理数,3次の無理数
2次方程式の解となる√nの連分数展開を求めると,たとえば
√2=[1:2,2,2,2,・・・]
√3=[1:1,2,1,2,1,2,1,2,・・・]
√7=[2:1,1,1,4,1,1,1,4,・・・]
のように循環型の単純連分数に展開されることが知られている(ラグランジュの定理).
しかし,3次以上の方程式の解,たとえば3√2の連分数展開を求めると,
3√2=[1:3,1,5,1,1,4,1,1,8,1,14,1,10,2,1,4,・・・]</P>
の一般項は求めることができない.この展開に現れる整数に最大値があることも示すこともできないのである.
超越数eの連分数展開は,
e=[2;1,2,1,1,4,1,1,6,1,1,8,1,1,10,1,1,12,1,1,14,1,1,16,・・・]
と書け,数字の出方が自然数順になっていることがわかる.
e=[2;1,2,1,1,4,1,1,6,1,・・・,1,2n,1,・・・]
すなわち,eの連分数展開は2次の無理数のように規則性があるわけだが,eのように超幾何関数の特殊値は3次の無理数よりも,2次の無理数に近いということなのだろうか?
しかし,πの連分数展開
π=[3;7,15,1,292,1,1,1,2,1,3,1,14,2,1,1,2,2,2,2,1,84,2,1,1,15,3,13,1,4,2,6,6,99,1,2,2,6,3,5,1,1,6,・・・]
にはなんの規則性も見あたらないようにみえる.もちろん,一般項は見つかっていない.
πに現れる数字0〜9については,重複対数の法則と呼ばれるランダムウォークに基づく非常に厳しいランダムネス検定にも十分合格することが確かめられている.πには少なくとも何進法かの表現の下でなにか隠された未発見の規則性があるに違いないと信じている人もいるが,現在のところ,πは最も複雑な数なのである.
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