■ゼータの香りの漂う公式の背後にある構造(その35,杉岡幹生)
虚2次体Q(√-3)ゼータLA(s)に関し、(その33)で1〜5分割をやりましたので、今回は6〜8分割を報告します。そして(その36)に<雑感、スケッチ>として13年前に発見していたゼータ分割の話を書きます。
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簡単に復習しますと、LA(s)ゼータはL関数L(χ,s)の一種で、次のディリクレ指標をもつ虚2次体Q(√-3)ゼータです。
LA(s)=1 -1/2^s +1/4^s -1/5^s +1/7^s -1/8^s +1/10^s -1/11^s +1/13^s -1/14^s +1/16^s -1/17^s +1/19^s -1/20^s +1/22^s -・・
(導手N=3, n≡0, 1, 2 mod 3に対し、それぞれχ(n)=0, 1, -1)
いつものように、明示的に求まる特殊値LA(1),LA(3),LA(5)・・のうち、次のLA(1)を代表選手として考察します。(ちなみにLA(2),LA(4),LA(6)・・は現代数学でもよくわかっていないとされるもので、ζ(3),ζ(5),・・やL(2),L(4),・・に対応する)
LA(1)=1 -1/2 +1/4 -1/5 +1/7 -1/8 +1/10 -1/11 +1/13 -1/14 +1/16 -1/17 +1/19 -1/20 +1/22 -・・=π/(3√3) ------@
ここで
La(1)=1 -1/5 + 1/7 -1/11 +1/13 -1/17 +1/19 -1/23 +1/25 -1/29 +1/31 -1/35 +・・
とおくと
La(1)=3/2LA(1) ------A
となります。La(1)はLA(1)と本質的に同じゼータというわけです。
また@、Aより
La(1)=π/(2√3) -----B
それではLA(1)またはLa(1)の分割を示します。分割に関係のない級数は”⇒無視”としました。
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■La(1)6分割
B1= 1 -1/35 +1/37 -1/71 +1/73 -1/107 +・・ =(π/36)tan(17π/36)
B2=1/3 -1/33 +1/39 -1/69 +1/75 -1/105 +・・=(π/36)tan(15π/36) ⇒無視
B3=1/5 -1/31 +1/41 -1/67 +1/77 -1/103 +・・=(π/36)tan(13π/36)
B4=1/7 -1/29 +1/43 -1/65 +1/79 -1/101 +・・=(π/36)tan(11π/36)
B5=1/9 -1/27 +1/45 -1/63 +1/81 -1/99 +・・ =(π/36)tan(9π/36) ⇒無視
B6=1/11 -1/25 +1/47 -1/61 +1/83 -1/97 +・・ =(π/36)tan(7π/36)
B7=1/13 -1/23 +1/49 -1/59 +1/85 -1/95 +・・ =(π/36)tan(5π/30)
B8=1/15 -1/21 +1/51 -1/57 +1/87 -1/93 +・・ =(π/36)tan(3π/36) ⇒無視
B9=1/17 -1/19 +1/53 -1/55 +1/89 -1/91 +・・ =(π/36)tan(π/36)
B1 -B3 +B4 -B6 +B7 -B9=La(1) であることを確認ください。B2, B5, B8は無視します。
Excelマクロで数値検証しましたが、左辺の級数は右辺値に一致しました。右辺値の”B1 -B3 +B4 -B6 +B7 -B9”もB右辺値に一致しました。
■LA(1)7分割
B1= 1 -1/20 +1/22 -1/41 +1/43 -1/62 + ・・ =(π/21)tan(19π/42)
B2= 1/2 -1/19 +1/23 -1/40 +1/44 -1/61 +・・ =(π/21)tan(17π/42)
B3= 1/3 -1/18 +1/24 -1/39 +1/45 -1/60 +・・ =(π/21)tan(15π/42) ⇒無視
B4= 1/4 -1/17 +1/25 -1/38 +1/46 -1/59 +・・ =(π/21)tan(13π/42)
B5= 1/5 -1/16 +1/26 -1/37 +1/47 -1/58 +・・ =(π/21)tan(11π/42)
B6= 1/6 -1/15 +1/27 -1/36 +1/48 -1/57 +・・ =(π/21)tan(9π/42) ⇒無視
B7= 1/7 -1/14 +1/28 -1/35 +1/49 -1/56 +・・ =(π/21)tan(7π/42)
B8= 1/8 -1/13 +1/29 -1/34 +1/50 -1/55 +・・ =(π/21)tan(5π/42)
B9= 1/9 -1/12 +1/30 -1/33 +1/51 -1/54 +・・ =(π/21)tan(3π/42) ⇒無視
B10=1/10 -1/11 +1/31 -1/32 +1/52 -1/53 +・・=(π/21)tan(π/42)
B1 -B2 +B4 -B5 +B7 -B8 +B10=LA(1) であることを確認ください。B3, B6, B9は無視します。
Excelマクロで数値検証しましたが、左辺の級数は右辺値に一致しました。右辺値の”B1 -B2 +B4 -B5 +B7 -B8 +B10”も@右辺値に一致しました。
■La(1)8分割
B1= 1 -1/47 +1/49 -1/95 +1/97 -1/143 + ・・ =(π/48)tan(23π/48)
B2= 1/3 -1/45 +1/51 -1/93 +1/99 -1/141 + ・・ =(π/48)tan(21π/48) ⇒無視
B3= 1/5 -1/43 +1/53 -1/91 +1/101 -1/139 + ・・ =(π/48)tan(19π/48)
B4= 1/7 -1/41 +1/55 -1/89 +1/103 -1/137 + ・・ =(π/48)tan(17π/48)
B5= 1/9 -1/39 +1/57 -1/87 +1/105 -1/135 + ・・ =(π/48)tan(15π/48) ⇒無視
B6= 1/11 -1/37 +1/59 -1/85 +1/107 -1/133 + ・・ =(π/48)tan(13π/48)
B7= 1/13 -1/35 +1/61 -1/83 +1/109 -1/131 + ・・ =(π/48)tan(11π/48)
B8= 1/15 -1/33 +1/63 -1/81 +1/111 -1/129 + ・・ =(π/48)tan(9π/48) ⇒無視
B9= 1/17 -1/31 +1/65 -1/79 +1/113 -1/127 + ・・ =(π/48)tan(7π/48)
B10=1/19 -1/29 +1/67 -1/77 +1/115 -1/125 + ・・ =(π/48)tan(5π/48)
B11=1/21 -1/27 +1/69 -1/75 +1/117 -1/123 + ・・ =(π/48)tan(3π/48) ⇒無視
B12=1/23 -1/25 +1/71 -1/73 +1/119 -1/121 + ・・ =(π/48)tan(π/48)
B1 -B3 +B4 -B6 +B7 -B9 +B10 -B12=La(1) であることを確認ください。B2, B5, B8, B11は無視します。
Excelマクロで数値検証しましたが、左辺の級数は右辺値に一致しました。右辺値の”B1 -B3 +B4 -B6 +B7 -B9 +B10 -B12”もB右辺値に一致しました。
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上の分割式の導出過程を簡単に述べます。次の部分分数展開式を使います。
G[1](x)=1/(1^2-x^2) +1/(3^2-x^2) +1/(5^2-x^2) +・・ =(π/(4x))tan(πx/2)
このxに次の値を代入することで、分割された級数とその値が求まります。
G[1](x)のxに17/18を代入すると、LA(1)6分割のB1が得られる。
G[1](x)のxに15/18を代入すると、LA(1)6分割のB2が得られる。⇒無視 15/18代入は5/6代入。
G[1](x)のxに13/18を代入すると、LA(1)6分割のB3が得られる。
G[1](x)のxに11/18を代入すると、LA(1)6分割のB4が得られる。
G[1](x)のxに 9/18を代入すると、LA(1)6分割のB5が得られる。⇒無視 9/18代入は3/6代入すなわち1/2代入!
G[1](x)のxに 7/18を代入すると、LA(1)6分割のB6が得られる。
G[1](x)のxに 5/18を代入すると、LA(1)6分割のB7が得られる。
G[1](x)のxに 3/18を代入すると、LA(1)6分割のB8が得られる。⇒無視 3/18代入は1/6代入。
G[1](x)のxに 1/18を代入すると、LA(1)6分割のB9が得られる。
G[1](x)のxに19/21を代入すると、LA(1)7分割のB1が得られる。
G[1](x)のxに17/21を代入すると、LA(1)7分割のB2が得られる。
G[1](x)のxに15/21を代入すると、LA(1)7分割のB3が得られる。⇒無視 15/21代入は5/7代入。
G[1](x)のxに13/21を代入すると、LA(1)7分割のB4が得られる。
G[1](x)のxに11/21を代入すると、LA(1)7分割のB5が得られる。
G[1](x)のxに 9/21を代入すると、LA(1)7分割のB6が得られる。⇒無視 9/21代入は3/7代入。
G[1](x)のxに 7/21を代入すると、LA(1)7分割のB7が得られる。
G[1](x)のxに 5/21を代入すると、LA(1)7分割のB8が得られる。
G[1](x)のxに 3/21を代入すると、LA(1)7分割のB9が得られる。⇒無視 3/21代入は1/7代入。
G[1](x)のxに 1/21を代入すると、LA(1)7分割のB10が得られる。
G[1](x)のxに23/24を代入すると、LA(1)8分割のB1が得られる。
G[1](x)のxに21/24を代入すると、LA(1)8分割のB2が得られる。⇒無視 21/24代入は7/8代入。
G[1](x)のxに19/24を代入すると、LA(1)8分割のB3が得られる。
G[1](x)のxに17/24を代入すると、LA(1)8分割のB4が得られる。
G[1](x)のxに15/24を代入すると、LA(1)8分割のB5が得られる。⇒無視 15/24代入は5/8代入。
G[1](x)のxに13/24を代入すると、LA(1)8分割のB6が得られる。
G[1](x)のxに11/24を代入すると、LA(1)8分割のB7が得られる。
G[1](x)のxに 9/24を代入すると、LA(1)8分割のB8が得られる。⇒無視 9/24代入は3/8代入。
G[1](x)のxに 7/24を代入すると、LA(1)8分割のB9が得られる。
G[1](x)のxに 5/24を代入すると、LA(1)8分割のB10が得られる。
G[1](x)のxに 3/24を代入すると、LA(1)8分割のB11が得られる。⇒無視 3/24代入は1/8代入。
G[1](x)のxに 1/24を代入すると、LA(1)8分割のB12が得られる。
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このようにLA(1)の6〜8分割が得られました。
(その33)同様、ここでも何個か無視するものが出てきましたが、代入するxの値で約分できるものが無視の候補になります(いつもそうではありませんが)。
例えば、6分割では9個出るが、3個を無視して6分割が実現されています。無視したものは”⇒無視”で見たように1/6、3/6(=1/2), 5/6の代入に対応します。これらはL(1)の3分割となっています。以上。(杉岡幹生)
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