■ゼータの香りの漂う公式の背後にある構造(その32,杉岡幹生)

 (その31)の分割級数の導出過程を簡単に述べます。三角関数タンジェントの部分分数展開式をG[1](x)と表現すると、次のようになります。

 G[1](x)=1/(1^2-x^2) +1/(3^2-x^2) +1/(5^2-x^2) +・・=(π/(4x))tan(πx/2)

 ζ(2)すなわちZ(2)では、これを1回微分して得られる次のAの生成核G[2](x)を使います。

 G[2](x)=1/(1^2-x^2)^2 +1/(3^2-x^2)^2 +1/(5^2-x^2)^2 +・・=(π/(4x))^2/{cos(πx/2)}^2 + Others(x)

 ここで右辺のOthers(x)は、じつはOthers(x)=-{π/(8x^3)}tan(πx/2)ですが、今回は無視してよい個所なのでOthers(x)としました。

 G[2](x)のxに特定の値を代入することで、Z(2)の分割級数が次々に求まっていきます。以下の通りです。

 G[2](x)のxに値1/2を代入すると、Z(2)1分割が得られる。

 G[2](x)のxに値5/6を代入すると、Z(2)3分割のA1が得られる。

 G[2](x)のxに値3/6を代入すると、Z(2)3分割のA2が得られる。 ⇒Z(2)1分割が出現(3/6代入は1/2代入だから) 。上記結果を参照。

 G[2](x)のxに値1/6を代入すると、Z(2)3分割のA3が得られる。

 G[2](x)のxに値9/10を代入すると、Z(2)5分割のA1が得られる。

 G[2](x)のxに値7/10を代入すると、Z(2)5分割のA2が得られる。

 G[2](x)のxに値5/10を代入すると、Z(2)5分割のA3が得られる。 ⇒Z(2)1分割が出現(5/10代入は1/2代入だから) 。上記結果を参照。

 G[2](x)のxに値3/10を代入すると、Z(2)5分割のA4が得られる。

 G[2](x)のxに値1/10を代入すると、Z(2)5分割のA5が得られる。 

注記:値を代入されたG[2](x)の左辺からL(1)分割級数が出ますが、それは今回は興味がないので無視します。右辺からも左辺のL(1)分割級数に対応した値がOthers(x)から出ますがそれも無視します。興味がないものは、Others(x)に押し込んで無視するのです。なぜこんなことをするかと言いますと、高次のζ(4)やL(5)やζ(6)・・などを求める際にこの方法を使うと、計算量を劇的に減らせるかです。ζ(2)分割ではまだその有難味はわかりませんが、高次の計算ではこのアイディアが絶大な威力を発揮します。

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 このようにζ(2)すなわちZ(2)でも、L(1)と同じような秩序で分身たちが生成されていきます。

 美しい限りですが、ここでも(その22)他で見た『2n分割においてそれが2^n分割でない場合は、その当該分割以外の分割の結果も含まれる』と類似の現象が出ています。

それがすぐ上で書いた「 ⇒Z(2)1分割が出現(3/6代入は1/2代入だから) 。上記結果を参照。」などに当たるものですが、3分割のA2は次のものです。

A2=1/3^2 +1/9^2 +1/15^2 +1/21^2 + 1/27^2 +1/33^2 +・・=(π/12)^2 /{cos(3π/12)}^2

 これは容易に次のように変形できます。

A2=1/3^2(1/1^2 +1/3^2 +1/5^2 +1/7^2 + 1/9^2 +1/11^2 +・・)=(1/3)^2(π/4)^2 /{cos(π/4)}^2

 このA2は上方の1分割の結果、すなわちZ(2)そのものとなっていることに着目ください。面白いことですね。

 最後に、Z(2)の分割を行うための(分身たちを生み出すための)規則をまとめておきます。

 基本規則は次の通りです。まず1/2代入でZ(2)1分割が出ることに着目。例えば「5分割を出したい」場合は○/(2×5)代入、つまりx=○/10をG[2](x)に代入すればよい。

実際、5分割では上記の通りG[2](x)に○/10を代入していることを確認してください。簡単です。

 以上のことから『L(1),L(3),L(5)・・のみならず、ζ(2),ζ(4),ζ(6)・・もn分割可能である(nは1以上の整数)』とわかりました。  (杉岡幹生)

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