■ゼータの香りの漂う公式の背後にある構造(その25,杉岡幹生)
ゼータ分割に関し、別の新しい予想が生まれましたので報告します。「奇数出現位置予想」(短く奇数予想)と名付けます。
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■「奇数出現位置予想」
分割されたζ(m)、L(m)の特殊値の分子において、奇数は一度だけ出現する。さらに次の関係を満たすサイン位置pに奇数が出現する。
奇数が掛かるサインsinの指数の値をpとすると、
m + p=2^n
ただし、分母と分子は最大限約分されているとする。ここでmは、ζ(m)では2以上の正の偶数、L(m)では1以上の正の奇数。nは1以上の整数。
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例としてL(7)とZ(10)をとりあげ、予想が成り立っているか見ておきます。
[例1]L(7)2分割
A1=α^7 {17sβ+26(sβ)^3+2(sβ)^5}/{45(cβ)^7}
L(7)を見ているので、m=7である。
右辺の分子には17という奇数が一度だけ出現している。17が掛かるサインsβ(sin(3π/8)のこと)はsβつまり(sβ)^1であるからp=1である。
7 + 1=2^3
であり、予想は成り立っている。
[例2]Z(10)2分割
A1= α^10 {62+1072(sβ)^2+1452(sβ)^4+247(sβ)^6+2(sβ)^8}/{2835(cβ)^10}
Z(10)を見ているので、m=10である。
右辺の分子には、247という奇数が一度だけ出現している。247が掛かるサインsβは(sβ)^6であるからp=6である。
10 + 6=2^4
であり、予想は成り立っている。
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以上の通りです。
この予想、どう思われたでしょうか。もちろん証明は現段階では見当もつきません。
私はまず最初「分子に奇数は1回しか出現していない」と気づきました。それで「分子に奇数は1回しか出現しない」予想ができたと思いました。しかしさらによく観ると、奇数が順番にぐるぐる循環しているような気がしてきて、そして予想に到達しました。それにしても、どうしてこんなことになっているのでしょうか。
例は二つ示しましたが、他でも全部成り立っているので確認してください。Z(2)では、分子は1(Sβ)^0と解釈します。
この規則性によって、「分割されたゼータの分子のどの位置に奇数が出現するか」がわかってしまいます。
上記では見ていませんが、Z(14)では、サイン(sβ)^2の位置に奇数が出るはずです!なぜなら、14+2=16=2^4だから。
そしてまた、L(253)では、サイン(sβ)^3の位置に奇数が出るはずです!なぜなら、253+3=256=2^8だから。
なお、本予想における分子のサインの最大の指数値はζ(m)、L(m)のmより小さくなります。(最大のpはp=m-2になります。上記を観察してください。)
この関係が延々と無限に続いているのではないか?というのが、「奇数出現位置予想」です。L(253)などを計算するのは手計算では無理ですが、フェルマー予想のように見事に解くことが可能なのでしょうか。
ゼータの美と調和を考えると、予想は正しいに違いないと思っています。
岩澤理論はゼータの特殊値に現われる”非正則素数”の出現位置情報など、その特殊値の意味をさぐるものだそうです。例えば、ζ(12)の特殊値には分子に突然、非正則素数691が出現しますが、その出現位置がわかる(何番目のnのζ(2n)にそれが出るかわかる)というものです。この辺は「無解析の源流」(現代数学社、高橋浩樹著)に興味深い記事があります。
今回の奇数出現位置予想は、分割されたゼータの特殊値における「分子のどこに奇数が出現するか」を述べたものといえるかもしれません。 (杉岡幹生)
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