■p進数体(その4)

 各素数pごとに,通常の絶対値の代わりに「p進絶対値」を考える.そこから定義される「p進距離」を用いて有理数集合Qを完備化できる.そのようにしてできる完備化を「p進体」と呼び,Qpで表す.

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【1】p進絶対値

 p進絶対値はpの何乗で割れるかを用いて定義される.ただし,pの高いベキで割れれば割れるほど絶対値が小さい(0に近い)と定める.0はpのどんなに高いベキ乗でも割れるので,無限大乗で割れるとみなすことにする.

 整数nがp^ν(n)で割れるとき

  |n|p=p^-ν(n)

と定義する.たとえば,p=2のとき

  ν(2)=1,ν(3)=0,ν(4)=2,ν(5)=0,

  ν(6)=1,ν(7)=0,ν(8)=3,ν(9)=0

なので,

  |2|2=1/2,|3|2=1,|4|2=1/4,|5|2=1,

  |6|2=1/2,|7|2=1,|8|2=1/8,|9|2=1

 次に,整数から有理数に拡張させると

  |m/n|p=p^ν(n)-ν(m)

で定義する.分母がpで割れる場合は,負のベキ乗で割れるとみなす.

  |1/2|2=2,|9/8|2=3

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【2】p進絶対値と通常の絶対値との違い

[1]pのベキ乗の値しか取りえない(離散的).

[2]pで割れれば割れるほど0に近い.たとえば,

  |2|2,|4|2,|8|2,|16|2,|32|2,・・・は

  1/2,1/4,1/8,1/16,1/32,・・・

[3]p以外の素因子はp進絶対値に無関係,たとえば

  |2|2,|4|2,|8|2,|16|2,|32|2,・・・の分母や分子に3,5,7などをかけても不変.

  |2/3|2,|12|2,|24|2,|16/7|2,|96/25|2,・・・は

  1/2,1/4,1/8,1/16,1/32,・・・

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