■楕円関数と加法定理(その4)

【1】ケーベの1/4定理(ビーベルバッハの定理)

 ケーベ予想とは,単位円|z|=1内で単葉であり,かつ,f(0)=0,f’(0)=1を満たす関数f(z)はによるその円による像に,完全に含まれる最大円の半径の下限が1/4であるという予想である.単葉関数とはその定義域内の異なる2点の像が常に異なるものをいう.

 ビーベルバッハによって1916年に証明された.

===================================

【2】ビーベルバッハ予想(ド・ブランジェの定理)

 ビーベルバッハ予想(1916年)とは,ある関数が単位円の中の点と単連結な領域の中の点との間の1:1対応を提供するとき,係数はベキ乗よりも大きくなることはないという予想である.

 すなわち,

  f(z)=a0+a1z+a2z^2+・・・

が与えられたとき,a0=0,a1=1であれば,i≧2なるすべてのiに対して

  |ai|≦i

となるというものである.1984年にド・ブランジェにより証明された.

===================================

【3】ブロッホの定理

 ブロッホの定理とは,単位円内で正則かつf’(0)=1なる関数f(z)は,ある定数Bを越えた長さの単連結部分をもつ.

 ある点における長さとは,その点を中心とした円で,その内部では元の関数の逆関数が正則で単連結となるものの半径の最大の長さをさす.

 アールフォルスは

  √3/4<B<2^1/4√π・Γ(1/3)/Γ(1/4)・{Γ(11/12)/Γ(1/12}^1/2

  0.4330・・・<B<0.4719・・・

であることを示した.

===================================