■バナッハ・タルスキーのパラドックス(余聞3)

 阪本ひろむ氏がWagonのBanach-Tarski Paradoxの第二版を入手.内容は大幅に改訂されたようである.

 そのなかに「Satoの回転」というのがでてくる.1995年にK.Satoにより発表された球の回転である.Satoの回転により,球面上の有理点の集合が選択公理なしに逆説的に分解されるとのことである.

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 Satoの回転の計算にはMathematicが使われた由.阪本ひろむ氏もMathematicaを使って証明の検証中である.ところで,SO(3)の回転σが与えられたとする.回転軸はσの固有ベクトルとみなしてよい.回転の角度をθとしたとき,Cosθはどのようにとるか?

 任意の軸(その方向余弦をcosα, cosβ,cosγとする)の周りのθ回転には2つの表現方法(四元数を用いるものと四元数を用いないもの)があるがある.

 Satoの回転を四元数表現して(Cosθ/2)を計算するのであるが,要は固有ベクトルと直交するベクトルを選択すると,

 σv,v=|v|^2 cosθ

となる.

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