■ベキ和の公式の整除性(その28)

【2】ウォルステンホルムの定理の別証明

 (p−1)!とpは互いに素であるから

  S=(p−1)!(1+1/2+1/3+・・・+1/(p−1))

がp^2で割り切れることと

  1+1/2+1/3+・・・+1/(p−1)=0  (mod p^2)

は同値である.

 mod算術を扱う場合,1/2のような数はある整数と同値である.たとえば,

  1/2=6/2=3  (mod 5)

  1+1/2+1/3+1/4=1+13+17+19=0  (mod 25)

 素数pによる整除性ではなく,素数の平方p^2による整除性なのでかなり難しい問題である.そこで,素数による整除性の問題に帰着させてより解きやすいものにしたい.そこでまず

  1+1/2+1/3+・・・+1/(p−1)=0  (mod p)

を証明するしよう.

  1+1/2+1/3+1/4=1+3+2+4=0  (mod 5)

であるが,

  4=−1,3=−2  (mod 5)

を使えば,

  1+1/2+1/3+1/4=1−2+2−1=0  (mod 5)

同様に,

  p−1=−1,p−2=−2,・・・  (mod p)

であるから

  1+1/2+1/3+・・・+1/(p−1)=0  (mod p)

を証明することができる.

 次に,1/1と1/(p−1),1/2と1/(p−2),・・・をペアに組ませると

  1+1/2+1/3+・・・+1/(p−1)  (mod p^2)

 =1+1/(p−1)+1/2+1/(p−1)+・・・+1/(p−1)/2+1/((p+1)/2)

 =p(1/(p−1)+1/2(p−2)+・・・+1/(p−1)/2+(p+1)/2)  (mod p^2)

 したがって,

 1/(p−1)+1/2(p−2)+・・・+1/(p−1)/2+(p+1)/2=0  (mod p)

  p−1=−1,p−2=−2,・・・  (mod p)

であるから,

 1/1^2+/2^2+1/3^2+・・・+1/(p−1)^2=0  (mod p)

が成り立つことをを示しさえすればよい.

 1/1^2+/2^2+1/3^2+・・・+1/(p−1)^2=1^2+2^2+3^2+・・・+(p−1)^2=(p−1)p(2p−1)/6=0  (mod p)

となって証明了.

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