■ベキ和の公式の整除性(その16)
【1】ベルヌーイ数とベルヌーイ多項式
ベルヌーイは式の列
Σk=n(n+1)/2
Σk^2=n(n+1)(2n+1)/6
Σk^3=n^2(n+1)^2/4
Σk^4=n(n+1)(2n+1)(3n^2+3n−1)/30
Σk^5=n^2(n+1)^2(2n^2+2n−1)/12
Σk^6=n(n+1)(2n+1)(3n^4+6n^3−3n+1)/42
Σk^7=n^2(n+1)^2(3n^4+6n^3−n^2−4n+2)/24
を見て,次のようなパターンを発見しました.
それを一般式の形で書くと,S(s,n)=Σk^sは
S(s,n)=1/(s+1){B0n^(s+1)+(s+1,1)B1n^s+・・・+(s+1,s)Bsn}
=1/(s+1)Σ(K=0-s)(s+1,k)Bk(n+1)^(s+1-k)
と,ベルヌーイ数Bnを含む式で表すことができます.
具体的に係数Bn を求めてみましょう.有名なベルヌーイ数列{Bn}の指数型母関数はx/(exp(x)−1)で与えられます.すなわち,ベルヌーイ数は
x/(exp(x)−1)
=B0/0!+B1/1!x+B2/2!x^2+B3/3!x^3+・・・
=ΣBnx^n/n!
で定義される有理数で,係数Bnはベルヌーイ数と呼ばれます.容易にわかるように,lim(x→0)x/(exp(x)−1)=1が成立します.
定義より,ベルヌーイ級数は,べき級数
(exp(x)−1)/x=1+1/2!x+1/3!x^2+1/4!x^3+・・・
の反転級数と考えることができます.
exp(x)=1+1/1!x+1/2!x^2+・・・
ですから
x/(exp(x)−1)
=x/(x+x^2/2!+x^3/3!+・・・)
=1/(1+x/2!+x^2/3!+・・・)
=1-(1+x/2!+x^2/3!+・・・)+(1+x/2!+x^2/3!+・・・)^2-・・・
=1-1/2x+1/6x^2-1/30x^4+・・・
これより,B0=1,B1 =−1/2で
x/(exp(x)−1)−B1 /1!x=x/2・(exp(x)+1)/(exp(x)−1)
は偶関数ですから,奇数項は第一項以外は0で,偶数項はB2=1/6,B4=−1/30,B6=1/42,B8=−1/30,B10=5/66,B12=−691/2730,B14=7/6,B16=−3617/510,B18=43867/798であとは分子が急速に大きくなり,たとえば,B32=−7709321041217/510,B34=2577687858367/6です.分母は必ず6で割り切れます.
ベルヌーイ数については,再帰公式
(B+1)^n-B^n=0
が成り立ちます.ただし,2項展開してからB^nをBnで置き換えることにします.ベルヌーイ数は数多くの魅惑的な整数論的特性をもっていて,正則素数の判定にも顔を出す興味深い数となっています.
また,ベルヌーイ多項式の最初のいくつかは
B0(x)=1
B1(x)=x−1/2
B2(x)=x^2−x+1/6
B3(x)=x^3−3x^2/2+x/2
B4(x)=x^4−2x^3+x^2−1/30
B5(x)=x^5−5x^4/2+5x^3/3−x/6
B6(x)=x^6−3x^5+5x^4/2+x^2/2+1/42
B7(x)=x^7−7x^6/2+7x^5/2+7x^3/6+x/6
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