■谷山予想・佐藤予想・ラマヌジャン予想

 今回のコラムでは「楕円曲線と有限体」「もうひとつの五角数定理」から,谷山予想・佐藤予想・ラマヌジャン予想を中心にピックアップし,再録してみました.
 
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【1】有限体上の楕円曲線とL関数
 
 まず,整数を法pで考えた有限体Fpの上の3次方程式の群の位数について考察します.係数をFpにもつ3次方程式
  y^2=x^3+ax+b=f(x)
を考えて,非特異であるための必要十分条件は,p≠2,かつ,Fpの元として(mod pで)
   2^2a^3+3^3b^2≠0  
です.
 
 一般論に進む前に,具体例を掲げておきましょう.有限体F5上の非特異3次曲線
  y^2=x^3+x+1=f(x)
について,
  f(0)=1(平方剰余) → y=±1
  f(1)=3(平方非剰余)
  f(2)=11=1(平方剰余) → y=±1
  f(3)=31=1(平方剰余) → y=±1
  f(4)=69=4(平方剰余) → y=±2
ですから,無限遠点を含めて9つの点が見つかります.可換群の構造が入るのは,有限体Fpにおいても同様で,この場合,位数9の可換群となります.
 
 一般のFpについて,Fp={0,1,・・・,p−1}を方程式:y^2=f(x)に代入してみましょう.すると
  (1)f(x)=0なら1つだけの解y=0がある.
  (2)f(x)≠0ならf(x)のとり得る0でない値の半分に対して,yとして2つの解がある.したがって,
  C:y^2=x^3+ax+b=f(x)
の有限体Fpにおける群の位数(元の個数)#E(Fp)は,f(x)の値が平方と非平方に均等に分布していれば,およそp+1個の点が期待できます.
 
 よって,解の個数は,
  #E(Fp)=p+1+(誤差項)=p+1+Mp
の形になることがわかります.
 
  c(p)=−Mp
で定義することにしますが,次の関数
  L(s;E)=Π(1-c(p)p^(-s)+p^(1-2s))^(-1)
を楕円曲線EのL関数といいます.
 
 この積Πは11以外のすべての素数をわたるのですが,素数をまとめあげたものを「ゼータ」と呼ぶことにすると,2次のゼータになっていることがわかります.すなわち,歴史上最初のゼータであるオイラー積
  ζ(s)=Σn^(-s)=Π(1−p^(-s))^(-1)
は積の中身がp^(-s)の1次式であり,本質的には1次のゼータでしたが,L関数では,p^(-1)の1次式から2次式に進化しているのです.
 
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【2】ラマヌジャン予想と谷山予想
 
 デデキントのイータ関数,
  η(z)=q^(1/24)Π(1-q^n),q=exp(2πiz)
において,関数
  F(z)=η(z)^2η(11z)^2
    =qΠ(1-q^n)^2(1-q^11n)^2=q-2q^2-q^3+2q^4+q^5+2q^6-2q^7+・・・
    =c(n)q^n,q=exp(2πiz)
を考えます.c(n)はF(z)のフーリエ係数です.
 
 F(z)は,
  ad-bc=1,c=0(mod 11)
なる任意の整数a,b,c,dに対して
  F(az+b/cz+d)=(cz+d)^2F(z)
を満たします.このとき,F(z)は重さ2の保型形式をもつといいます.
 
 また,F(z)のフーリエ係数c(n)を使って,ディリクレ級数
  φ(s)=Σc(n)/n^s
を定義します.ディリクレ級数はリーマンのゼータ関数
  ζ(s)=Σ1/n^s
を一般化したものです.
 
 ラマヌジャンは,このとき,
  L(s;E)=φ(s)
を予想しています.この予想は,1954年,アイヒラーが楕円曲線:y^2−y=x^3−x^2のゼータ関数と保型形式:F(z)=qΠ(1-q^n)^2(1-q^11n)^2のゼータ関数が,すべての素数に対して一致することを示すことによって解決されました(アイヒラー・井草).
 
 アイヒラーが示したラマヌジャン予想「解析的ゼータ=代数的ゼータ」は,ゼータの統一の先駆けであったのですが,これは谷山予想(谷山・志村・ヴェイユ予想)の特別な場合であって,谷山予想は最近ワイルズらによって解かれました.
 
 すなわち,ラマヌジャン予想・谷山予想は,ワイルズのフェルマー予想の証明(1995年)に至る大きなステップであって,20世紀の数論の原動力として重要な役割を果たしたといえるのです.
 
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【3】佐藤予想
 
 ところで,誤差項Mpはpに比べて小さく,
  |Mp|=|c(p)|≦2√p
を満たすことが証明されています(ハッセの定理,1933年).
 
 そこで,
  cosθp=c(p)/2√p
とおくと,数論における楕円曲線のヴェイユ・ゼータに関する佐藤(幹夫)予想とは,楕円曲線Eの位数の分布に関するもので,Eが虚数乗法をもたないとき,偏角θpが任意に固定された0≦a≦b≦πに対して,偏角が[a,b]となる素数密度:
  #{p≦x;a<θp<b}/π(x) 〜 2/π∫(a,b)sin^2θdθ
すなわち,その角分布はsin^2θに比例するであろうというものです.
 
 角分布がsin^2θに比例するという佐藤予想の最初の記述は,資料によると,昭和38年(1963年)のことなのですが,sin^2予想でt=cosθとおけば,
  偏角が[a,b]となる素数密度 〜 2/π∫(α,β)√(1-t^2)dt
となりますから,これも1種の半円則となっていることがわかります.
 
 佐藤予想には,多くの言い換えがあって,
(1)x^2+Mpx+p=0
の解を
  √p(cosθ±isinθ)
とするとき,その角分布はsin^2θに比例する
(2)Mp/2√pが√(1−x^2)に比例する
(3)ハミルトンの4元数環(フルヴィッツの整数):(a+bi+cj+dk)/2の半径pの格子点3次元球面:a^2+b^2+c^2+d^2=4pの一様分布の実軸方向への射影である
といっても同じことです.
 
 佐藤予想(佐藤・テート予想)は現在も未解決で,リーマン予想に匹敵する予想であるといわれています.
 
 なお,佐藤予想とは一見無関係に見えますが,Mpが−2√pから+2√pまでの区間をまんべんなく広がって分布していることに則って,巨大な整数の素因数分解に楕円曲線を応用する方法がレンストラによって発見され,最も強力な素因数分解法になっています.
 
 現在,大きな素数を素因数分解するのに有用なアルゴリズムとして「楕円曲線法」や「平方ふるい法」とが知られています.楕円曲線はフェルマー予想の解決で注目された曲線で,数論研究に非常に役立っています.また,暗号理論も楕円曲線の重要な応用分野になっています.
 
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【4】分割数とオイラーの五角数定理
 
 「分割数」とは与えられた整数にどれだけ多くの分割があるのか(4=1+1+1+1,4=3+1)という整数の分割理論のことです.整数の分割では,3=2+1と3=1+2のように足し算の順序が違うものは同じと見なすことにします.たとえば,4を分割するには非増加数列で構成した5通りの方法,4=3+1=2+2=2+1+1=1+1+1+1がありますから,p(4)=5.同様にして,5=4+1=3+2=3+1+1=2+2+1=2+1+1+1=1+1+1+1+1よりp(5)=7となります.
 
  p(0)=1,p(1)=1,p(2)=2,p(3)=3,p(4)=5,p(5)=7,p(6)=11,
  p(7)=15,p(8)=22,p(9)=30,p(10)=41,p(11)=56,p(12)=77,・・・
ここで,p(n)はオイラーの分割関数とも呼ばれますが,定義が簡単そうにみえるにも関わらず,易しい式で表すことはできません.
 
 ところで,
  Π(1-q^n)=Σ(-1)^mq^(m(3m-1)/2))
は,オイラーが分割関数p(n)の研究中に発見した関数等式です(1750年).この等式もオイラー積のように「無限積=無限和」型の等式ですが,左辺は整数のk個の平方数の和への分割問題(nが平方和として何通りに書けるか)
  n=□1+□2+・・・+□k
に結びつく母関数で,それを展開すると右辺が得られるというわけです.
 
 mが負になる項も含んでいるため,展開すると
  Π(1-q^n)=1-x-x^2+x^5+x^7-x^12-x^15+x^22+x^26-x^35-x^40+x^51+・・・
       =Σ(q^(6m^2-m)-q^(6m^2+5m+1))
になります.級数中の係数はすべて0か±1であり,指数の引数はm(3m−1)/2,すなわち,1,5,12,22,35,51,・・・という数列がピタゴラスの五角数であることから,五角数定理と呼ばれています.
 
 分割数を求めるには,五角数を利用したオイラーの方法があります.
  p(n)-p(n-1)-p(n-2)+p(n-5)+p(n-7)-p(n-12)-p(n-15)+・・・=0^n
ただし,n=0のとき0^n=1,nが正のときは0^n=0とします.
  +(-1)^kp(n-1/2k(3k-1))+(-1)^kp(n-1/2k(3k+1))
のように,符号は2つずつ組になって反転していますが,それにしても不思議な公式です.
 
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[補]p(n)はオイラーの分割関数とも呼ばれますが,整数の分割問題は,現在では,統計力学(Maxwell-Boltzmann統計,Bose-Einstein統計,Fermi-Dirac統計)など様々な分野で実際的な問題を解決するのに用いられています.
 
 なお,分割を数え上げるとき,並べる順番は問題にしませんが,もし,順番を考慮すると答えは非常に簡単になります.
 
 自然数nをk分割する総数は
  n=i1+i2+・・・+ik
において,ij≧1より,n−1カ所にk−1枚の仕切りをつけて分配する問題と等価になります.
  (n-1)C(k-1)=(n-1,k-1)
 
 したがって,
  Σ(n-1,k-1)=2^(n-1)
より2^(n-1)通りあります.このことより,n=3では4つの順序つき分割
  3=1+1+1,3=1+2,3=2+1,3=3
が存在することがわかります.
 
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[補]斉藤正光氏(U.S.A.在住)の談によると「オイラーの五角数定理はヤコビの三重積公式を使うとあっさり証明できる」そうですが,現在,五角数定理にはヤコビの三重積公式による証明やフランクリンによる組合せ的証明があります.
 
 斉藤氏のご指摘のように,五角数定理の完全な証明は,ヤコビのテータ関数や保型形式の理論の中に求められなければなりません.しかし,ヤコビを待つまでもなく,オイラーは五角数定理を証明しました.オイラーはこの定理の証明にほぼ10年を要した(発見は1741年,証明は1750年)のですが,その間,たとえ完全な証明は与えられなくとも正しいことは間違いないことを確信していて,結果の正しさについて,微塵の疑いも抱いていなかったようです.
 
 オイラー自身による証明はヴェイユの「数論」に紹介されています.梅田亨先生の解説によると,今日的な眼からすれば,オイラーの証明には無限次行列に対する跡公式と呼ばれるアイディアが使われているというのですが,跡公式とは,行列Aにおいて対角和=固有値の和,すなわち
  trA=Σλ
の左辺が解析的,右辺が幾何学的に得られたものであるように,ある作用素の跡を2通りの方法で計算することにより得られる等式であって,作用素とはいわば無限次行列のことと考えておくとよいと思われます.
 
 2通りに計算するということを喩えていうならば,家計簿つけのシーンにおいて,まず行ごとの合計を求めそれを総計する,次に列ごとの合計を求めそれを総計する,そして計算が正しければその2つの計算結果は一致するはずというわけです.
 
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【5】分割数の母関数
 
 ところで,分割数は,以下の公式によって代数的に定義することができます.
  f(x)=Π(1-x^n)^(-1)={(1-x)(1-x^2)・・・(1-x^n)・・・}^(-1)
    =Σp(n)x^n=1+p(1)x+p(2)x^2+p(3)x^3+・・・
すなわち,f(x)は分割関数p(n)の母関数で,p(n)はx^nの係数になっています.
 
 オイラーは4平方和定理
  「すべての正の整数は4個の整数の平方和で表される」
を証明するために,級数1+2Σx^(n^2)を考察しているのですが,このアイディアは,nの分割がnをk個の平方数の和への分割(nが平方和として何通りに書けるか):
  n=□1+□2+・・・+□k
として表した場合の解と1対1に対応することに拠っています.
 
 このことより,
  f(x)=(1+x+x^2+・・・)(1+x^2+x^4+・・・)(1+x^3+x^6+・・・)・・・
    =Π(1-x^n)^(-1)
そして,
  f(x)=Π(1-x^n)^(-1)={(1-x)(1-x^2)・・・(1-x^n)・・・}^(-1)
    =Σp(n)x^n=1+p(1)x+p(2)x^2+p(3)x^3+・・・
の恒等式は,1918年にハーディーとラマヌジャンによって,p(n)の漸近式を見いだすのに利用されることになりました.
 
 なお,オイラーの五角数定理
  Π(1-q^n)=Σ(-1)^mq^(m(3m-1)/2))
により
  x^(1/24)/f(x)=Σ(-1)^nx^((6n-1)^2/24)
したがって,左辺はデデキントのイータ関数の定義そのもの,また,右辺は確かにテータ級数(ベキが平方数であるような交代級数:例えば,1-x+x^4-x^9+x16-・・・)であることがわかります.
 
 分割関数の母関数は本質的にモジュラー形式を与えるというわけで,ラーデマッハーはその保型性から明示公式にたどりついたのですが,ハーディーとラマヌジャンはその第一近似式を得たことになります.このことに関して,セルバーグは,ハーディーとラマヌジャンが明示公式までたどりつけなかった原因はハーディーがラマヌジャンを十分に理解できなかったことによると興味深いコメントを述べています.
 
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[補]三角関数に対応する楕円関数sn,cn,dnがヤコビの楕円関数と呼ばれるのに対して,指数関数に対応するのがヤコビのテータ関数で,ヤコビはテータ関数:
  θ3(z)=1+2Σq^(n^2)cos(2nπ)
などを使って,楕円関数を表すことにも成功しています.
 
 オイラーの五角数定理は,左辺がイータ関数,右辺がテータ関数と呼ばれる保型形式の原型を与えていたので,19世紀には,
  デデキントのイータ関数=ヤコビのテータ関数
すなわち,保型形式の間の等式と捉えられるようになりました.さらに,1987年にウィッテンにより,素粒子の超弦理論はアデール理論として捉えられたことにより,最近では素粒子の超弦理論との関連も研究されています.
 
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【6】ラマヌジャン数とラマヌジャン予想
 
 保型形式が最初に現れたのは,1750年のオイラーによる五角数定理
  Π(1-q^n)=Σ(-1)^mq^(m(3m-1)/2))   m(3m-1)/2は五角数
ですが,これを3乗した形の展開結果はかなり簡単になり,ヤコビの公式(1829年)
  Π(1-q^n)^3=Σ(-1)^m(2m+1)q^((m^2+m)/2)   (m^2+m)/2は三角数
が得られます.
 
 また,ヤコビの公式を経て,ラマヌジャンの保型形式論の時代(24乗の場合)に突入します.
 
 オイラー数
  f(x)=Π(1-x^n)^(-1)={(1-x)(1-x^2)・・・(1-x^n)・・・}^(-1)
    =Σp(n)x^n=1+p(1)x+p(2)x^2+p(3)x^3+・・・
と同様にして,ラマヌジャン数が定義できます.
  f(x)=xΠ(1-x^n)^24=x{(1-x)(1-x^2)(1-x^3)・・・}^24
    =Στ(n)x^n=τ(1)x+τ(2)x^2+τ(3)x^3+・・・
  
 ラマヌジャンは,
  Δ(z)=η(z)^24=qΠ(1-q^n)^24=Στ(n)q^n
      zは虚部が正の複素数で,q=exp(2πiz)
を考え,そのフーリエ係数τ(n)を計算しました.
  τ(1)=1,τ(2)=-24,τ(3)=252,τ(4)=-1472,τ(5)=4830,τ(6)=-6048,
  τ(7)=-16744,τ(8)=84480,τ(9)=-113643,τ(10)=-115920,
  τ(11)=534612,τ(12)=-370944,・・・
 
 ここでも,無限積をベキ級数に展開した式(フーリエ展開)が登場しましたが,このΔ(z)は,重さ12の保型形式
  Δ(az+b/cz+d)=(cz+d)^12Δ(z)
と呼ばれるものになっていて,オイラーの五角数公式の拡張(24乗版)と考えられます.
 
 ラマヌジャン数は,オイラーの分割数のアナローグであり,
(1)mとnが素ならば,τ(m)τ(n)=τ(mn)
  τ(2)*τ(3)=-6048=τ(6),τ(2)*τ(5)=-115920=τ(10)
  τ(3)*τ(4)=-370944=τ(12),τ(2)*τ(9)=2727432=τ(18)
  τ(4)*τ(5)=-7109760=τ(20),τ(3)*τ(7)=-4219488=τ(21)
(2)τ(p^(n+1))-τ(p^n)τ(p)=-p^11τ(p^(n-1))
(3)τ(n)=(nの約数の11乗の総和)  (mod 691)
など,驚くような性質をもっています.
 
 また,ラマヌジャンは保型形式を用いて,たとえば,
  Σn^5/{exp(2πn)-1}=1/504
  Σn/{exp(2πn)-1}=1/24-1/8π
  Σn^3/{exp(2πn)-1}=1/80(ω/π)^4-1/240
  Σ1/n{exp(2πn)-1}=-π/12-1/2log(ω/√2π)
を証明しています.ここで,πとωはそれぞれ,
  π=2∫(0,1)1/√(1-x^2)dx=3.14159・・・(円周率)
  ω=2∫(0,1)1/√(1-x^4)dx=2.62205・・・(レムニスケート周率)
です.
 
 これらの等式は,積分表示
  ζ(s)=1/Γ(s)∫(0,∞)x^(s-1)/{exp(x)-1}dx
の離散化とみることができますが,この式はコラム「プランク分布と量子化の概念」で紹介したプランク分布(Bose-Einstein統計)そのものです.
 
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 1916年,ラマヌジャンはラマヌジャン数のゼータについて考え,ある予想をたてました.ラマヌジャン数のゼータ,すなわち,
  L(s)=Στ(n)n^(-s)
とおくと(オイラー積のアナローグ)
  L(s)=Π{1-τ(p)p^(-s)+p^(11-2s)}^(-1)
が成り立つことを予想したのです.
 
 ラマヌジャン数のゼータは,歴史上最初の2次のゼータといえるのですが,新種のゼータに関するこの予想は,翌年,モーデルによって証明されました(1917年).
 
 また,τ(p)はpが増加するとき,急激に増加するのですが,1974年,ドリーニュによって,ラマヌジャン予想(ハッセの定理のアナローグ),
  |τ(p)|<2p^(11/2)
が証明されています.
 
 なお,佐藤予想のもとで
  τ(p)=2p^(11/2)cosθp
とおくと,任意に固定された0≦a≦b≦πに対して,偏角θpが[a,b]となる素数密度は
  2/π∫(a,b)sin^2θdθ
で与えられるだろうという予想がたてられています(セール,1968年).
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