■ひもの棲む世界

 
 宇宙を作っている粒子には2種類あり,物質の素になる粒子はフェルミオン(電子やクォークなど),力の素になる粒子はボゾン(光子など)と総称されます.宇宙はひもから構成されているというのが「ひも理論」であり,フェルミオンのひもとボゾンのひもの2種類あるというわけです.
 
 ひも理論の場合,フェルミオンは10次元,ボゾンは26次元というとんでもない値をとるのですが,この「ひも」は時間方向と縦方向には振動できないので,横方向の振動だけを考えるとそれぞれの自由度は8次元,24次元になります.8次元と24次元という数字にどのような意味があるかというと,実はこの2つの次元はかなり特別な意味をもっているのです.
 
 「閑話休題」では,高次元の世界がメインテーマのひとつになっているのですが,今回のコラムでは,超球に関するコラム「高次元における最密充填構造」と「高次元の球と立方体の断面積」を再録し,ひもの棲む世界を探ってみることにします.
 
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【1】ケプラーの球体充填問題
 
 いきなり高次元の世界に踏み込んでも撃沈されるのがおちでしょうから,まず最初に,3次元の球の詰め込み問題について考えてみましょう.
 
 1611年,ケプラーは,物質を構成する粒子は体積を最小とするように自己を組織化するだろうという構成原理を考えました.そこで,粒子が球形だと仮定して,さまざまな配置の空間充填率を計算してみました.ケプラーが最初に試みたのは,それぞれの球が6個の球に囲まれるように第1層を構成し,第2層は第1層のくぼみに球を置くという積み方です.
 
 これは別の角度からみると,立方体の8個の頂点と6面の中心に球が配置されているところから,面心立方格子と呼ばれている配置ですが,この積み方は八百屋の店先でミカンなどの山を安定に積み上げるために使われている日常的な配置です.この場合の充填率は√2π/6(74.04%)になります.
 
 他の配置と比較してみましょう.たとえば,下の層を正方形配列としその真上に球をのせていく単純立方格子の充填率はたったπ/6(53%)にすぎません.また,六方格子(第1層は面心立方格子と同じ正三角形配列だが,第2層は球の真上に球をのせる)の充填率は√3π/9(60%)であり,立方体の8個の頂点と中心に球を配置した体心立方格子の充填率は√3π/8(68%)です.こうして,さまざまな配置を調べてみたケプラーは,面心立方格子が最密充填構造であるという結論に達しました.
 
 面心立方格子が最も密な球の充填方法だろうという予想は400年近く前のケプラーまでさかのぼります.日常の経験からしても,同じ大きさの球の最も効果的な配置問題は自明なものと考えてしまいがちで,直感的に面心立方格子をなす場合が最大に詰め込んだ配置のように思えます.しかしだからといって,無限にある可能性をすべてひっくるめて証明したわけではないので,これは定理ではなく予想にすぎません.ランダムな配置まで含めると,空間充填率が74.04%よりも引き上げられるかもしれないからです.
 
 1958年,ロジャースが四面体配置から,空間充填率の上限を3√2(cos-11/3−π/3)=77.96%とはじき出しました.四面体配置は,3次元で相互に接するように球を配置するときの最大数となる配置ですが,全空間を充たすことはできないので,空間充填率の上限と考えられるわけです.
 
 1988年には,この上限はわずかに改良され,77.84%よりも高密度の詰め込みは存在しないことが証明されています.これを74.04%まで引き下げることができれば,面心立方格子が最密充填構造だという証明になるのですが,残念ながら,上限の引き下げは骨の折れる厄介なプロセスであり,遅々として進んでいません.球の最密充填構造については,わずか数%の差であるにもかかわらず,また,何世紀にもわたる研究にもかかわらず未解決で,数学の未解決問題として有名なものの一つになっています.まだこんなことがわかっていないのです.
 
 現在,ケプラーの問題については大半の数学者がまず間違いないだろうと考え,すべての物理学者が当たり前だと思っているのですが,面心立方格子が3次元空間における最密充填構造だという証明にはまだ至っておらず,いまやケプラー予想はフェルマーの最終定理に取って代わる数学上の未解決問題になっているのです.
 
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【2】kissing numberの問題
 
 次に,次数を大きくして「高次元における最密充填構造」と深く関係するkissing numberの問題について考えてみることにしましょう.
 
 1つの10円玉を机の上において,それと触れ合うようにかつお互いに重ならないようにして,6個の10円玉を置くことができます.1次元の球は区間であり,接触数は1次元のとき2個,2次元のとき6個であることは自明であって,幼稚園児でも解くことができそうです.
 
 平面上で与えられるたいていの問題は,3次元あるいは高次元の空間で考察することができます.一般に,n次元ユークリッド空間において,1つの単位球に同時に接触することのできる単位球の最大個数τn は接吻数(kissing number)あるいは接触数(contact number)と呼ばれていて,最密充填構造と深い関連があります.
 
 10円玉の例からわかるようにτ2=6ですが,n≧3のとき,τn はどうなるでしょうか? まず,3次元の場合,単位球のまわりに面心立方格子状に単位球を置いた場合の接触点
  1/√2(±1,±1,0)
  1/√2(±1,0,±1)
  1/√2(0,±1,±1)
を考えてみると,これら12個の相異なる2点に対応するベクトルの内積は,−1,±1/2,0のいずれかであり,したがって,その間の角度(球面距離)は60度以上となりますから,これらの点で接するように12個の単位球を置くことができます.したがって,τ3≧12は直ちにわかります.
 
 実際,正20面体の12個の頂点に対して,そこで接するように12個の単位球を置くことができます.この場合,頂点間の角度は約63゜26′になり,12個の球は互いに接触しておりません.少しだけなら自由に動かせるという状況ですから,その隙間を一つに集めたらもう一個球が入るのではないでしょうか? ところが,これができるかできないかはあまり自明ではありません.というより,3次元になると,とたんに問題が難しくなってしまうのです.
 
 3次元の球の最大接触数τ3については,1694年にニュートンとグレゴリーの間で議論され,ニュートンは12を,グレゴリーは13を主張したといわれています.結局,ニュートンは12個が最大であるという証明ができず,グレゴリーも13個並べたわけではないので,「ニュートンの13球問題」と呼ばれるこの論争は引き和けに終わりました.
 
 1874年,ホッペが12個が最大であることという証明を試みましたが,不備があり,ようやく完全な証明がなされたのは1953年,ファン・デル・ヴェルデンとシュッテによってです.つまり,3次元空間内で1つの球には同時に12個の球しか接することができません.3次元のときは12個という解が得られるまで非常に長い年月がかかったことになります.
 
 4次元の場合はどうなるでしょうか? 24個の面心立方格子状配置の接触点
  1/√2(±1,±1,0,0)
  1/√2(±1,0,±1,0)
  1/√2(±1,0,0,±1)
  1/√2(0,±1,±1,0)
  1/√2(0,±1,0,±1)
  1/√2(0,0,±1,±1)
で重ならないように置けるので,τ4≧24は明らかです.また,τ4≦25は示されていますが,現在でもτ4が24であるか25であるかは未解決です.
 
 τnの正確な値を決定する問題は大変難しく,4次元以上の高次元については,高度に対称的な格子状配置になっている8次元(240個)と24次元(196560個)の場合を除いて未解決であり,現在,正確な値が知られているのは,τ1=2,τ2=6,τ3=12,τ8=240,τ24=196560の5つだけなのです.
 
 少し詳細に調べていきましょう.4次元,5次元においては面心立方格子の類似品となりますが,6次元以上についてはそのようなことはもはや成立しなくなります.次元の上昇とともに,超球の間の隙間が大きくなっていくからです.8次元になると面心立方格子に十分な隙間ができるので,112個の接触点
  1/√2(0,・・・,±1,0,・・・,±1,0・・・)   (±1の個数は2つ)
と128個の隙間の点
  1/√8(±1,±1,±1,±1,±1,±1,±1,±1)   (+の個数は偶数)
に同じ大きさの球が詰め込み可能になります.専門的になりますが,τ8の240個の点はE8型の単純リー代数の240個のルート格子で実現されます.さらに,この詰め込みの断面が6次元と7次元のもっとも効率のいい格子状詰め込みを与えてくれます.
 
 また,1965年,リーチは群論と深く結びついた今日リーチ格子として知られるようになったものに基づいて,24次元空間の格子状詰め込みを構成しました.この詰め込みにおいては,なんと1つの超球に196560個もの超球が接触しています.τ24の196560個の点はリーチ格子の原点から一番近い点の集合として得られることが知られています.
 
 こうして,n≦24のときのすでに知られている上界・下界がスローンらによって与えられています.
 
  n     τn
  1       2
  2      6
  3      12
  4     24〜25
  5     40〜46
  6     72〜82
  7    126〜140
  8      240
  9    306〜380
  10    500〜595
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  24    196560
 
 つまり,8次元と24次元は,接吻数が計算できる特殊な次元なのであり,都合のいい格子(8次元の場合,格子にはE8,24次元の場合,リーチ格子という名前が付いている)がひとつに決まるので,格子上に球を配置することによって,すぐに接吻数を数えることができるというわけです.そして,ひもはぴったりと隙間のない次元にしか存在できない代物と考えられるのです.
 
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【3】超球の間は隙間だらけ(高次元のパラドックス)
 
 人間の直観や勘は3次元までの世界では働きますが,4次元以上の高次元についてはあまり働かないのが普通です.次のような逆説をあげておきます.
 
 n次元ユークリッド空間において,1辺の長さが1の立方体をn次元単位立方体といいます.その体積は1ですが,もっとも離れた2頂点を結ぶ対角線の長さはn次元ユークリッド空間の距離の定義から
  √12+12+・・・+12=√n
となります.したがって,次元nが大きくなると対角線の長さはどんどん大きくなり,ついには地球でさえ含むことができるようになります.それに対して,n次元単位球はどんなに次元が高くても,長さが2より大きな線分を含むことはできません.
 
 辺の長さが4の正方形に4つの単位円板を詰めると,4つの円板で囲まれた部分に,第5の小さな円を入れることができます.また,辺の長さが4の立方体の8つのカドに単位球を8個詰めると,中にできる隙間に第9の小さな球を入れることができます.ピタゴラスの定理によって第5の円,第9の球の半径はそれぞれ√2−1,√3−1だとわかります.
 
 これと同じことを4次元以上の空間で行うことができます.もはやイメージすることは不可能ですが,1辺の長さが4の4次元超立方体の16個のカドに16個の単位球を詰めると,中の隙間には半径√4−1=1の4次元超球(すなわち単位球)が入ります.同様に,1辺の長さが4のn次元超立方体の2n個のカドに単位球を詰めると,中の隙間に半径√n−1のn次元超球が詰められるのです.
 
 しかし,ここの驚きが潜んでいます.たとえば,n=9の場合,中に詰められるn次元超球の半径は√9−1=2であり,この球は外側の立方体の表面に接してしまい,n>9だとはみ出してしまうのです.この驚くべき結論は,日常生活ではありえないだけに面食らってしまいます.
 
 球の詰め込みに関するこのはみ出し現象は,モーザーのパラドックスとして知られています.あるいは同じことですが,n=2,3,4では単位立方体(対角線の長さ√n)は単位球体の中に含まれますが,n≧5でははみ出る部分があり,次元とともにはみ出る部分が増えていきます.単位球体の直径は次元によらず2なのです.
 
 このように,高次元はいくつかのパラドックスの源泉になっていて,しばしばたちの悪い現象が起こるのですが,あとで,もっと衝撃的な現象を紹介することにします.
 
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 球に相当するn次元の図形を超球と呼びます.n次元単位超球{x12+x22+・・・+xn2≦1}の体積をVnとすると,V1=2(直径),V2=π(面積),V3=4π/3(体積)はご存知でしょう.
 
 n次元単位超球の体積Vn,その表面積を表面積Sn-1とすると,単位超球の表面積Sn-1はnVn,半径rのn次元球の体積はVnr^n,表面積はnVnr^(n-1)となります.n次元単位超球の体積Vnを求めてみると,
  Vn=π^(n/2)/Γ(n/2+1)
を得ることができます.また,Γ(m+1)=m!より,この結果は,形式的に
  Vn=π^(n/2)/(n/2)!
と書くことができます.
 
 Vn-1がわかれば,Vnは漸化式:
  Vn/Vn-1=Γ(1/2)Γ{(n+1)/2}/Γ(n/2+1)=B(1/2,(n+1)/2)
によって求めることができますが,この計算は面倒ですから,Vn-2との漸化式
  Vn/Vn-2=2π/n
を用いると任意のnに対して
  nが奇数であれば,Vn=2(2π)^((n-1)/2)/n!!
  nが偶数であれば,Vn=(2π)^(n/2)/n!!
とも書けることも理解されます.1次元から6次元までを具体的に書けば,
  Vn=2,π,4π/3,π2/2,8π2/15,π3/6
という具合に,πのべき乗は偶数次元になるたびに1つあがります.
 
 そして,n→∞のとき,
  Vn/Vn-2=2π/n→0
  Sn-1/Sn-3=nVn/(n-2)Vn-2=2π/(n-2)→0
ですから,不思議なことに,単位球面の体積や表面積はn→∞のとき0に収束するのです.
 
 nが整数のとき,実際にVnの値を計算してみると,1次元から14次元までの具体的数字は次の通りです.
 
  n    Vn
  1   2
  2   3.14
  3   4.19
  4   4.93
  5   5.263
  6   5.167
  7   4.72
  8   4.06
  9   3.30
  10   2.55
  11   1.88
  12   1.36
  13   0.91
  14   0.60
 
 このように,超球の体積はn=5のとき最大8π2/15=5.2637・・・となり,以後は次元とともにどんどん減少します.(次元を整数に限らなければ5.256次元で最大となり,そのときの体積は5.277・・・である.)幾何学では5,6次元を境にして本質的に様子が変わっていることが少なくないのですが,このことはその原因の一端をほのめかしていると考えられます.
 
 また,このことから,n次元超立方体[-1,1]^n(体積2^n)において,単位超球が占める比率は,n=2であればπ/4(79%)であるが,n=5のときは16%に下落し,n=10となると0.25%になることも理解されます.
 
  n    Vn/2^n
  1   1
  2   0.79
  3   0.52
  4   0.31
  5   0.16
  6   0.08
  7   0.04
  8   0.02
  9   0.006
  10   0.0025
 
 ここで重要なのは,単位超球を超立方体中に置くと,次元が大きくなるにつれて隙間がより大きくなる点です.したがって,高次元において超立方体内に一様分布する標本を考えるとき,低次元の場合とは対照的に,大部分のデータは超球外に位置することになります.
 
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【4】超球面に許される微分構造(エキゾチックな球面)
 
 高次元の球や立方体については見て考えることができないので,2次元・3次元から類推して考えることになります.ところが,高次元の場合,奇妙なことが起こるので類推があてになりません.
 
 微分トポロジーは大きく分けて,高次元多様体(5次元以上)と低次元(3次元・4次元)を扱うものに分かれますが,高次元微分トポロジーからはミルナーのエキゾチック球面,低次元微分トポロジーからはドナルドソンの定理を紹介します.
 
 半径が1の球面の公式は
  1次元球面:x^2+y^2=1
  2次元球面:x^2+y^2+z^2=1
  3次元球面:x^2+y^2+z^2+w^2=1
という具合に変数を増やしていくだけですから,そこには本質的な違いは生じないような気がします.
 
 ところが,ある次元を境にして奇妙なことが起こることが知られています.奇妙なことというのは,米国の数学者ミルナーが発見した7次元球面(8次元球の表面)では,微分同型写像で互いに移ることができない孤立した微分構造が28個もあるというものです(ミルナーの定理:1956年).
 
 ミルナーはエキゾチックな球面を構成し,それが通常の7次元球面とは異なることを,ヒルツェブルフの指数定理を用いて証明しました.次元をn=4kとするとき,特性数Mの指数が
  2^(2k)(2^(2k-1)−1)/(2k!)・Bk   Bkはベルヌーイ数
の分子で割り切れるというのが,ヒルツェブルフの指数定理です.M^8の交点行列の指数は8であるが,微分同相であると仮定すると7で割り切れなければならず,背理法でミルナーの主張がいえるのです.
 
 通常の微分構造が球面を除いた27個はエキゾチックな球面と呼ばれます.「7次元球面には8次元ユークリッド空間の単位球面とは異なる微分構造が入る」といっても,これだけでは何が何だか意味不明ですが,位相同型であっても微分同相にならない,すなわち,なめらかさの構造がまったく異なるというのです.
 
 しかし,微分構造とか微分同型写像とかの意味はよくはわからなくても,ミルナーの発見が衝撃的な事実であることはすぐに理解できます.われわれは,微分という言葉を何気なく使っていますが,微分が1種類とは限らないというのは直観に反していて実に驚くべきことであり,当時,ほとんどだれも予想し得なかったことだからです.ミルナーはこの業績でフィールズ賞を受けました.
 
 球面に許される微分構造の数を表にしてみると,
  次元  微分構造
  1   1
  2   1
  3   1
  4   -
  5   1
  6   1
  7   28
  8   2
  9   8
  10   6
  11   992
このように,微分構造に関しては次元に関する制約がでてくるので,7次元以上では本質的に異なっていると考えられるのです.
 
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 さらに,興味深いことに,n次元ユークリッド空間R^nでは,
  次元     微分構造
  数直線     1
  平面      1
  空間      1
  4次元空間   ∞
  5次元空間   1
  6次元空間   1
つまり,4次元空間では微分構造の数が無限個になるというのです.
 
 このことは,1982年にドナルドソンという数学者が最初に証明したのですが,4次元のエキゾチックなR^4存在するということは,4次元多様体の特異性を際立たせる重要な定理です.しかし,ドナルドソンの定理は理論物理学にでてくるヤン・ミルズ場を使った難解な内容のため,おいそれと近づくことさえできませんでした.
 
 その証明を易しくしたのが,4つの力の統一を目指した「超弦理論」で名高いウィッテンです.とはいっても,3次元・4次元の問題は「低次元問題」という難しい分野に分類されていますから,ドナルドソンやウィッテンの研究対象やその業績については小生のまったく理解できないものなので,ノーコメントとせざるを得ませんが,・・・(生兵法は怪我の元).
 
 トポロジーは曲げたり伸ばしたりの連続変形を施しても変わらないようなものを研究するのですが,空間の性質は,次元が変わるごとに劇的といってよいほど変わります.しかし,それは単にオイラー標数の話だけでなく,そこにはもっと深い幾何学的な事情があるのです.
 
 4次元微分トポロジーにおけるドナルドソンやウィッテンの理論によると,4次元空間だけが非常に特殊なのですが,4次元が特別だからこそ,われわれが4次元時空に存在できる理由だと考えられています.ともあれ,高次元の世界は,われわれが3次元空間でイメージするものとは大きく異なっているのです.
 
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