■菱形多面体(その5)

 今回のコラムでは「対角線を折り曲げて新たな多面体を創る」ためのパラメータを導入して,菱形90面体の60枚の白銀菱形を黄金菱形に置き換えて2分割します.もちろんパラメータは連続的に変化させることも可能ですが,ここでは白銀菱形と黄金菱形の場合に限定し,30枚の黄金2乗菱形がどのように遷移するのか調べてみることにします.

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【1】黄金菱形を長軸で谷折り

  A(0,0,h+τ^2/2)

  B(1/τ,0,h/2+τ^2/2)

  C(τ/2,τ/2tanπ/5,τ^2/2)

  D(τ/2,−τ/2tanπ/5,τ^2/2)

に対して,

  B(m/τ,0,m(h/2+τ^2/2))

とパラメトライズします.

 途中の計算は省略しますが,2次方程式

  am^2+bm+c=0

  a=35+7√5

  b=−60−16√5

  c=10+16√5

に帰着されます→解なし.

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【2】黄金菱形を長軸で山折り

 同様に解なしです.解が存在しないことは,計算する前からアタマの中で思い描くことができます.

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【3】黄金菱形を短軸で山折り

  A(0,0,m(h+τ^2/2))

  C(mτ/2,mτ/2tanπ/5,mτ^2/2)

  D(mτ/2,−mτ/2tanπ/5,mτ^2/2)

とパラメトライズすると,2次方程式

  am^2+bm+c=0

  a=175−75√5

  b=−170+70√5

  c=35−13√5

に帰着されます→解あり(m=(9+√5)/10=1.1236).

 このとき

  黄金菱形−黄金菱形間二面角は144°

  黄金菱形内二面角は144.268°

  黄金菱形−菱形間二面角は142.958°

  菱形内二面角は147.866°

  菱形の対角線の長さの比は3.06121

となります.

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【4】黄金菱形を短軸で谷折り

 同様に,解あり(m=(5+√5)/10=0.723609).このとき

  黄金菱形−黄金菱形間二面角は144°

  黄金菱形内二面角は83.2683°

  黄金菱形−菱形間二面角は154.609°

  菱形内二面角は90°

  菱形の対角線の長さの比は2.67912

となります.

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