[1]正三角から正方形へ
というデュドニーのカンタベリー・パズルでは,正三角形の周は正方形の内部に移り,正方形の周は正三角形の内部の点だけから構成されているリバーシブルな性質をもっています.
このパズルには平面充填形(タイル張り)の理論が潜んでいます.ところで,プラトンの平面充填形は正三角形,正方形,正六角形の3つだけに限られます.このうち正方形のは碁盤,正六角形のは蜂の巣などでおなじみでしょう.
このことから,
[2]正六角形から正方形へ
[3]正三角形から正六角形へ
のリバーシブルタイプも作ることができるはずなのですが,2次元・3次元の分割パズルのコレクションである
[参]Frederickson GN: Dissections: Plane and Fancy, Cambridge University Press, 1997
にリバーシブルタイプの図は掲載されていません.不可能なのでしょうか?
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[2]正六角形から正方形へ
正六角形と正方形の面積は等しい.1辺の長さが2の正六角形の面積は
6/tan(π/6)=6√3
だから,同じ面積をもつ正方形の1辺の長さは(6√3)^1/2=3.22371でなければならない.一方,正六角形には長さ2√3=3.4641と4の2種類の対角線がある.
正六角形の周は正方形の内部に移り,正方形の周は正六角形の内部の点だけから構成されるためには,正六角形の2辺の中点を通らなければならない.正六角形の周を正方形の内部に移し,3つの頂点を1点に会させるためである.
図をいくらにらんでもわからない問題であるが,これらを実現させるのは不可能な幾何学的配置になっていることが,少し挑戦してみるとわかるのであろう.
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[3]正三角形から正六角形へ
正三角形と正方形の面積は等しい.1辺の長さが2の正三角形の面積は
3/tan(π/3)=√3
1辺の長さが2の正六角形の面積は
6/tan(π/6)=6√3
だから,同じ面積をもつ正六角形の1辺の長さは√(2/3)=0.816497でなければならない.
これも少し挑戦してみるとわかるのであるが,中点を通らなければならないとすると,正三角形からは正六角形の半分はできるが,それ以上はできないのである.
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[雑感][1]正三角から正方形へというデュドニーのカンタベリー・パズルの秀逸さを示す結果になったが,あらためてデュドニーに敬意を表したい.
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